京都大学 理系 2024年度 第1問 解説
問題編
問題
$n$ 個の異なる色を用意する。立方体の各面にいずれかの色を塗る。各面にどの色を塗るかは同様に確からしいとする。辺を共有するどの二つの面にも異なる色が塗られる確率を $p_n$ とする。次の問いに答えよ。
(1) $p_4$ を求めよ。
(2) $\displaystyle\lim_{n\to \infty} p_n$ を求めよ。
考え方
立方体の各面を区別しない場合、回転して一致するかどうかを考えないといけません。なので、(1)は、各面を区別して、順番に色を塗っていくようにするといいでしょう。
(2)は、こういうタイプの問題では、 $p_n$ を求めてから極限を考えるのがよくある流れですが、実際に $p_n$ を求めるのはすごく大変です。もっといい方法を考えましょう。ひらめけば、(1)よりも簡単です。
解答編
問題
$n$ 個の異なる色を用意する。立方体の各面にいずれかの色を塗る。各面にどの色を塗るかは同様に確からしいとする。辺を共有するどの二つの面にも異なる色が塗られる確率を $p_n$ とする。次の問いに答えよ。
(1) $p_4$ を求めよ。
(2) $\displaystyle\lim_{n\to \infty} p_n$ を求めよ。
解答
立方体の各面に 1 ~ 6 までの数字をかく。このとき、さいころのように、向かい合う面に書いた数字の和が 7 になるようにする。
(1)
辺を共有するどの二つの面も異なる色で塗る方法を考える。4色で塗る場合、少なくとも2組の向かい合う面がそれぞれ同じ色でないといけないので、以下の3つのケースに分けることができる。
(a) 1と6、2と5が同じ色の場合
(b) 1と6が同じ色で、2と5が異なる色で、3と6が同じ色の場合
(c) 1と6が異なる色で、2と5、3と6が同じ色の場合
(a)のとき、1と6の塗り方は $4$ 通り、2と5の塗り方は $3$ 通りである。3も4も、残りの2色から好きに選べるので、 $2\cdot 2$ 通りである(3と4が同じならちょうど3色で、異なるならちょうど4色で塗ることになる)。
(b)のとき、1と6の塗り方は $4$ 通りである。2と5の色は、1・6とは異なる3色から2つ選ぶので、2と5の塗り方は $3\cdot 2$ 通りである。3と4は、残りの1色に決まるので、$1$ 通りである。
(c)のとき、対称性から(b)と同じである。
また、各面の塗り方は全部で $4^6$ 通りである。
以上から、\[ 4\cdot3\cdot2\cdot2+4\cdot3\cdot2\cdot1\times 2=4\cdot3\cdot 8 \]通りなので、\[ p_4=\frac{4\cdot3\cdot 8}{4^6}=\frac{3}{2^7}=\frac{3}{128} \]となる。(答)
(2)
$n\geqq 6$ とする。
すべての面の色を異なる色で方法は ${}_n\mathrm{P}_6$ 通りあり、この塗り方では、辺を共有するどの二つの面も異なる色となっている。よって
\begin{eqnarray}
p_n
& \geqq &
\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)}{n^6} \\[5pt]
& \geqq &
\left(1-\frac{5}{n}\right)^5
\end{eqnarray}
\[ \]が成り立つ。最後の式は $n\to \infty$ のとき $1$ に収束する。また、 $p_n\leqq 1$ なので、はさみうちの原理から\[ \lim_{n\to \infty} p_n=1 \]である。(答)
解説
極端なケースで考えてみましょう。ものすごくたくさん色があって、そこから適当に各面に色を塗っていけば、隣同士が同じ色になるケースなんてほとんどなさそうだな、と直感的にわかると思います。