京都大学 文系 2025年度 第1問 解説
問題編
問題
次の各問に答えよ。
問1 $x,y,z$ は実数で\[ 2025^x=3^y=5^z \]を満たすとする。このとき $2xy+4xz-yz=0$ であることを示せ。
問2 $n^4+6n^2+23$ が $n^2+n+3$ で割り切れるような正の整数 $n$ をすべて求めよ。
考え方
問1は、対数計算の練習問題でどこかでやったことがあるでしょう。
問2は、「すべて」と書いてくれているので親切ですね。1個しかないと思った人は良く見てみましょう。数式の割り算のようで数式の割り算とは違うところがあります。
解答編
問題
次の各問に答えよ。
問1 $x,y,z$ は実数で\[ 2025^x=3^y=5^z \]を満たすとする。このとき $2xy+4xz-yz=0$ であることを示せ。
解答
問1
$2025=3^4\cdot 5^2$ なので、 $2025^x=3^y$ より\[ y=x\log_3 2025=x(4+2\log_3 5)\]が成り立ち、 $2025^x=5^z$ より\[ z=x\log_5 2025=x(2+4\log_5 3) \]が成り立つ。ここで、 $\log_3 5=A, \log 5_3=B$ とすると $AB=1$ が成り立つことに注意すれば、
\begin{eqnarray}
& &
2xy+4xz-yz \\[5pt]
&=&
2x\cdot x(4+2A)+4x\cdot x(2+4B) \\
& & -x(4+2A) \cdot x(2+4B) \\[5pt]
&=&
x^2 \{ 8+4A+8+16B -(4+2A)(2+4B) \} \\[5pt]
&=&
x^2 (8 -8AB) \\[5pt]
&=&
0
\end{eqnarray}となる。よって、 $2xy+4xz-yz=0$ が成り立つ。(終)
解答編 つづき
問題
問2 $n^4+6n^2+23$ が $n^2+n+3$ で割り切れるような正の整数 $n$ をすべて求めよ。
解説
\begin{eqnarray} & & n^4+6n^2+23 \\[5pt] &=& n^2(n^2+n+3) -n^3+3n^2+23 \\[5pt] &=& (n^2-n)(n^2+n+3) +4n^2+3n+23 \\[5pt] &=& (n^2-n+4)(n^2+n+3) -n+11 \\[5pt] \end{eqnarray}なので、 $-n+11$ が $n^2+n+3$ で割り切れる場合を考えればよい。まず、 $n=11$ のときは、 $-n+11$ は $n^2+n+3$ で割り切れる。
次に、 $1\leqq n\leqq 10$ の場合を考える。このとき、 $-n+11$ は正の整数である。ここで、
\begin{eqnarray}
& & -n+11 \geqq n^2+n+3 \\[5pt]
&\iff & 0 \geqq n^2+2n-8=(n+4)(n-2) \\[5pt]
\end{eqnarray}なので、これを満たす正の整数 $n$ は $1,2$ のみである。
$n=1$ のとき、 $-n+11=10$ で、 $n^2+n+3=5$ なので、 $-n+11$ は $n^2+n+3$ で割り切れる。
$n=2$ のとき、 $-n+11=9$ で、 $n^2+n+3=9$ なので、 $-n+11$ は $n^2+n+3$ で割り切れる。
$3\leqq n\leqq 10$ のときは、 $0\lt -n+11 \lt n^2+n+3$ なので、 $-n+11$ が $n^2+n+3$ で割り切れることはない。
最後に、 $n\geqq 12$ の場合を考える。この場合 $-n+11$ は負の整数である。
\begin{eqnarray}
|-n+11| \leqq n+11 \lt n^2+n \lt n^2+n+3
\end{eqnarray}なので、 $0\lt |-n+11| \lt n^2+n+3$ なので、 $-n+11$ が $n^2+n+3$ で割り切れることはない。
以上から、 $n=1,2,11$ …(答)