センター試験 数学II・数学B 2017年度追試 第3問 解説
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
問題編
問題
次の $(\mathrm{I})$, $(\mathrm{II})$ で定められる数列 $\{ a_n \}$ を考える。
$(\mathrm{I})$ $a_1=1$, $a_2=4$
$(\mathrm{II})$ $n=1,2,3,\cdots$ に対して\[ (n+1)a_{n+2} -(3n+2)a_{n+1} +2na_n = 4n+2 \ \cdots ① \] である。(1) $a_3 = \myBox{アイ}$ である。
(2) $\{ a_n \}$ の一般項、および初項から第 n 項までの和 $S_n$ を求めよう。
①の左辺は
\begin{eqnarray} & & (n+1)a_{n+2} -(3n+2)a_{n+1} +2na_n \\[5pt] & & = (n+1) \left(a_{n+2} -\myBox{ウ}a_{n+1}\right) -n\left(a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}となる。よって \begin{eqnarray} (n+1) \left(a_{n+2} -\mybox{ウ}a_{n+1}\right) -n\left(a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n}\right) =4n+2 \end{eqnarray}である。したがって、 $b_n = n\left(a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n}\right)$ とおくと、 $\{b_n\}$ の階差数列は初項 $\myBox{エ}$, 公差 $\myBox{オ}$ の等差数列であり、 $\{b_n\}$ の一般項は\[ b_n = \myBox{カ} n^{\myBox{キ} } \]である。ゆえに \begin{eqnarray} a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n} = \frac{1}{n} \cdot \mybox{カ} n^{\mybox{キ} } \ \cdots ② \end{eqnarray}を得る。$c_n = a_{n+1}-a_n$ とおくと、②から、\[ c_{n+1}-\mybox{ウ}c_n = \myBox{ク} \]である。\[ c_{n+1} +\myBox{ケ} = \mybox{ウ} \left(c_n +\mybox{ケ}\right) \]により、数列 $\left\{c_n+\mybox{ケ}\right\}$ は初項 $\myBox{コ}$, 公比 $\mybox{ウ}$ の等比数列である。
したがって、 $\{a_n\}$ の一般項は\[ a_n = \myBox{サ} \cdot \myBox{シ}^{\myBox{ス} } -\myBox{セ}n -\myBox{ソ} \]である。ただし、 $\myBox{ス}$ については、当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。
0: $n-2$
1: $n-1$
2: $n$
3: $n+1$
4: $n+2$また、 $\{a_n\}$ の初項から第 n 項までの和 $S_n$ は\[ S_n = \myBox{タ} \cdot \myBox{チ}^{\myBox{ツ} } -n^2 -\myBox{テ}n -\myBox{ト} \]である。ただし、 $\myBox{ツ}$ については、当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。
0: $n-2$
1: $n-1$
2: $n$
3: $n+1$
4: $n+2$
考え方
(1)はおまけです。難しいのは(2)です。
序盤から複雑そうな式変形をさせられますが、よく見ると $a_n$ の部分からウが求められます。
$c_n$ が出てきたところで少し意図がわかりづらくなりますが、 $\{a_n\}$ の階差数列を求めようとしてる、ということですね。この階差数列は、特性方程式を解いて、一般項をもとめることができます。
階差数列が分かれば元の数列もわかり、その数列の和も求められます。ただ、中盤の変形の意図をよくくみ取っていかないと、流れを見失ってしまうかもしれません。計算量もあるので、なかなか難しいです。
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
解答編
問題
次の $(\mathrm{I})$, $(\mathrm{II})$ で定められる数列 $\{ a_n \}$ を考える。
$(\mathrm{I})$ $a_1=1$, $a_2=4$
$(\mathrm{II})$ $n=1,2,3,\cdots$ に対して\[ (n+1)a_{n+2} -(3n+2)a_{n+1} +2na_n = 4n+2 \ \cdots ① \] である。(1) $a_3 = \myBox{アイ}$ である。
解説
①で、 $n=1$ とすると\[ 2a_3 -5a_2 +2a_1=4+2 \]となります。これに、 $a_2=4$, $a_1=1$ も代入して
\begin{eqnarray}
2a_3 -5\cdot 4 +2\cdot 1 &=& 6 \\
2a_3 &=& 6+18 \\
a_3 &=& 12 \\
\end{eqnarray}となります。
解答
アイ:12
解答編 つづき
問題
(2) $\{ a_n \}$ の一般項、および初項から第 n 項までの和 $S_n$ を求めよう。
①の左辺は
\begin{eqnarray} & & (n+1)a_{n+2} -(3n+2)a_{n+1} +2na_n \\[5pt] & & = (n+1) \left(a_{n+2} -\myBox{ウ}a_{n+1}\right) -n\left(a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}となる。よって \begin{eqnarray} (n+1) \left(a_{n+2} -\mybox{ウ}a_{n+1}\right) -n\left(a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n}\right) =4n+2 \end{eqnarray}である。
解説
$a_n$, $a_{n+1}$, $a_{n+2}$ の入った式をうまく分解して、 $n$ の部分と $n+1$ の部分に分けることを考えます。3項を含んだ漸化式の場合は、こうした分解をよく使います。
ノーヒントだと難しいですが、今の場合、分解した後の式が分かっているので、係数比較によって求めることができます。 $a_n$ に注目すると、最後のカッコの後半部分にしか出てきません。ここからは $\mybox{ウ}na_n$ が出てきて、これは左辺の $2na_n$ と一致するはずなので、ウに入るのは $2$ だとわかります。
実際、\[ (n+1) \left(a_{n+2} -2a_{n+1}\right) -n\left(a_{n+1} -2a_{n}\right) \]を展開すると、元に戻ることが確認できます。
解答
ウ:2
解答編 つづき
問題
したがって、 $b_n = n\left(a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n}\right)$ とおくと、 $\{b_n\}$ の階差数列は初項 $\myBox{エ}$, 公差 $\myBox{オ}$ の等差数列であり、 $\{b_n\}$ の一般項は\[ b_n = \myBox{カ} n^{\myBox{キ} } \]である。ゆえに
\begin{eqnarray} a_{n+1} -\mybox{ウ}a_{n} = \frac{1}{n} \cdot \mybox{カ} n^{\mybox{キ} } \ \cdots ② \end{eqnarray}を得る。
解説
$b_n=n(a_{n+1}-2a_n)$ とおくと、先ほど求めた式の左辺を置き換えて\[ b_{n+1}-b_n=4n+2 \]と書くことができます。よって、 $\{ b_n \}$ の階差数列は、初項が $4+2=6$ で、公差が $4$ の等差数列になります。
階差数列が分かっているので、 $n\geqq 2$ のとき、 $b_n$ は
\begin{eqnarray}
b_n
&=&
b_1 + \sum_{k=1}^{n-1} (4k+2) \\[5pt]
&=&
(a_2-2a_1) +4\times \frac{(n-1)n}{2} +2(n-1) \\[5pt]
&=&
(4-2)+2n^2-2n +2n-2 \\[5pt]
&=&
2n^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。これは $n=1$ のときも、 $b_1=2$ であることから成り立つので、これが一般項であることがわかります。
$b_n=n(a_{n+1}-2a_n)$ であり、 $b_n=2n^2$ もわかったので、\[ a_{n+1}-2a_n = \frac{1}{n}\cdot 2n^2 \]が得られます。
解答
エオ:64
カキ:22
解答編 つづき
問題
$c_n = a_{n+1}-a_n$ とおくと、②から、\[ c_{n+1}-\mybox{ウ}c_n = \myBox{ク} \]である。\[ c_{n+1} +\myBox{ケ} = \mybox{ウ} \left(c_n +\mybox{ケ}\right) \]により、数列 $\left\{c_n+\mybox{ケ}\right\}$ は初項 $\myBox{コ}$, 公比 $\mybox{ウ}$ の等比数列である。
解説
②より、\[ a_{n+1}-2a_n = \frac{1}{n}\cdot 2n^2 = 2n \]なので、 $c_n = a_{n+1}-a_n$ とおくと
\begin{eqnarray}
c_{n+1}-2c_n
&=&
(a_{n+2}-a_{n+1}) -2(a_{n+1}-a_n) \\[5pt]
&=&
(a_{n+2}-2a_{n+1}) -(a_{n+1}-2a_n) \\[5pt]
&=&
2(n+1) -2n \\[5pt]
&=&
2
\end{eqnarray}となります。
$c_{n+1}-2c_n=2$ から特性方程式を考えると、 $x-2x=2$ から $x=-2$ が得られるので、\[ c_{n+1}+2=2(c_n+2) \]と変形できることがわかります。
ここで、
\begin{eqnarray}
c_1+2
&=&
a_2-a_1 +2 \\[5pt]
&=&
4-1+2 \\[5pt]
&=&
5
\end{eqnarray}なので、数列 $\left\{c_n+2\right\}$ は、初項が $5$ で、 公比が $2$ の等比数列になることがわかります。
解答
クケコ:225
解答編 つづき
問題
したがって、 $\{a_n\}$ の一般項は\[ a_n = \myBox{サ} \cdot \myBox{シ}^{\myBox{ス} } -\myBox{セ}n -\myBox{ソ} \]である。ただし、 $\myBox{ス}$ については、当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。
0: $n-2$
1: $n-1$
2: $n$
3: $n+1$
4: $n+2$
解説
数列 $\left\{c_n+2\right\}$ は、初項が $5$ で、 公比が $2$ の等比数列なので、\[ c_n = 5\cdot 2^{n-1}-2 \]となります。
また、 $c_n = a_{n+1}-a_n$ だったので、 $n\geqq 2$ のときは
\begin{eqnarray}
a_n
&=&
a_1 +\sum_{k=1}^{n-1} \left(5\cdot 2^{k-1}-2\right) \\[5pt]
&=&
1 + \frac{ 5\cdot 2^{1-1} (2^{n-1} -1) }{2-1} -2(n-1) \\[5pt]
&=&
1 + 5\cdot 2^{n-1} -5 -2n+2 \\[5pt]
&=&
5\cdot 2^{n-1} -2n -2 \\[5pt]
\end{eqnarray}と計算できます。これは、 $n=1$ のときも成り立ちます。なので、これが一般項であることがわかります。
解答
サシスセソ:52122
解答編 つづき
問題
また、 $\{a_n\}$ の初項から第 n 項までの和 $S_n$ は\[ S_n = \myBox{タ} \cdot \myBox{チ}^{\myBox{ツ} } -n^2 -\myBox{テ}n -\myBox{ト} \]である。ただし、 $\myBox{ツ}$ については、当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。
0: $n-2$
1: $n-1$
2: $n$
3: $n+1$
4: $n+2$
解説
\[ a_n = 5\cdot 2^{n-1} -2n -2 \]だったので
\begin{eqnarray}
S_n
&=&
\sum_{k=1}^n (5\cdot 2^{k-1} -2k -2) \\[5pt]
&=&
\frac{5\cdot 2^{1-1}(2^n-1)}{2-1} -2\cdot\frac{1}{2}n(n+1) -2n \\[5pt]
&=&
5\cdot 2^n -5 -n^2 -n -2n \\[5pt]
&=&
5\cdot 2^n -n^2 -3n -5 \\[5pt]
\end{eqnarray}と計算できます。ちなみに、 $n=1$ とすると、 $S_1=1$ となり、ちゃんと $a_1=1$ と同じになることが確認できます。検算をしておいたほうが安全でしょう。
解答
タチツテト:52235