【標準】領域と不等式の証明

ここでは、領域を利用して、不等式の証明問題を解く方法を見ていきます。

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不等式の証明

例題
$x^2+y^2\lt 1$ ならば $x^2+2x+y^2-3\lt 0$ となることを示しなさい。
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示したい不等式の左辺をうまく分割すれば、簡単に示すことができます。

まず、示したい式の左辺をよく見ると、 $x^2+y^2$ の部分があることに気づきます。これは条件から $1$ 未満ですね。

$2x$ の部分が残ってしまいますが、 $x^2+y^2\lt 1$ という条件から $x^2\lt 1$ が成り立つ必要があります。さらに、これから $x\lt 1$ がわかるので、 $2x\lt 2$ が得られます。

よって、 $x^2+y^2\lt 1$ と $2x\lt 2$ を辺々足せば
\begin{eqnarray}
x^2+y^2+2x\lt 1+2 \\
x^2+2x+y^2-3\lt 0 \\
\end{eqnarray}が成り立つことがわかります。

このように、うまく分解できれば、簡単に示すことができます。

領域と証明

もちろん、上のように、示したい不等式を分解し、条件式がうまく使えるように変形して示すことはできます。ただ、 $x\lt 1$ を導くのは、少し気付きにくいですね(気付いてほしいレベルではありますが)。

そこで、領域を使って示す方法を紹介しましょう。領域を使えば、図を使って視覚的に示すことができます。

まず、それぞれの領域を図示してみましょう。 $x^2+y^2\lt1$ が表す領域は簡単ですね。原点が中心で半径が $1$ の円の内部です(境界線上の点は含まない)。示したい不等式については、左辺を $0$ とおいた式を変形すると
\begin{eqnarray}
x^2+2x+y^2-3 &=& 0 \\[5pt] (x+1)^2+y^2 &=& 2^2 \\[5pt] \end{eqnarray}となることから、この不等式が表す領域は、 $(-1,0)$ を中心とする半径 $2$ の円の内部です(境界線上の点は含まない)。よって、領域を図示すると、次のようになります。

また、この2つの境界線(円)について、中心間の距離と半径から考えると、点 $(1,0)$ で接していることがわかります。このことから、 $x^2+y^2\lt1$ が表す領域は $x^2+2x+y^2-3\lt 0$ が表す領域に含まれていることがわかります。

これは何を意味しているかというと、 $x^2+y^2\lt1$ が表す領域にある点は、 $x^2+2x+y^2-3\lt 0$ が表す領域にもあるということであり、それは「 $x^2+y^2\lt 1$ ならば $x^2+2x+y^2-3\lt 0$ である」ということを表しているわけです。つまり、図示をして、仮定の表す領域が、結論の表す領域に含まれていれば、それで「仮定⇒結論」が証明できている、ということです。

領域と不等式の証明
不等式 p の表す領域を P、不等式 q の表す領域を Q とする。
このとき、「 $p\implies q$ が成り立つこと」と「 $P\subset Q$ が成り立つこと」は同値である。

不等式を証明するときに、領域で考えると示しやすいことがあります。ただ、図をかけばそれでOKというわけではなくて、きちんと内部に含まれていることを示さないといけません。2つの円の場合は、【基本】2つの円の共有点(中心間の距離に注目)で見たように、中心間の距離と半径を見れば、含まれるかどうか、交わるかどうかがわかります。しかし、境界線が「放物線と円」などの組合せの場合には、どのような位置関係になるか、注意して示さなくてはいけません(実数解が1つしかないことを示して接することを言う、など)。

なお、もっと一般的に、命題と集合が対応している、という話は、【基本】命題と集合でも見ています。確認しておきたい人は見てみましょう。

おわりに

ここでは、不等式の証明をするときに、領域に注目し、仮定の表す領域が結論の表す領域に含まれることを示す方法を見ました。図示したほうが楽に示せることもあるので、知っておきましょう。