【標準】x+1/xを使った式の値

ここでは、$\displaystyle x+\frac{1}{x}$ を使った式の値の計算を見ていきます。【標準】対称式の値で出てきた内容を応用するので、見ていない人は見てから読んだ方が理解しやすいでしょう。

ここで考える問題は、「$\displaystyle x+\frac{1}{x}=3$ のときに、$\displaystyle x^2+\frac{1}{x^2}$ の値を求める」といった形式のものです。

元の式の両辺に $x$ を掛けて整理すると、$x^2-3x+1=0$ という2次方程式ができるので、これを解いて代入する、という方法がまず考えられます。しかし、面倒です。実はもっと楽な方法があります。

$\displaystyle y=\frac{1}{x}$ とおけば、「$x+y=3$ のときに $x^2+y^2$ の値を求める」という問題になります。これは、対称式ですね。【標準】対称式の値で出てきたように、\[ x^2+y^2 = (x+y)^2-2xy \]と変形することができます。\[ x+y=x+\frac{1}{x} \]なので値はわかっているし、\[ xy=x\times\frac{1}{x}=1 \]なので、これもわかります。これらのことから、
\begin{eqnarray}
x^2+\frac{1}{x^2}
&=&
\left(x+\frac{1}{x}\right)^2 -2x\times\frac{1}{x}\\
&=&
3^2 -2=7\\
\end{eqnarray}と求めることができます。2乗すると、$x$ と $\displaystyle \frac{1}{x}$ がうまいこと消えてくれるんですね。2次方程式を解いて代入することを考えると、かなり楽になっています。

例題1

前に挙げた例をよく見て、次の問題を考えてみましょう。

【例題】
$\displaystyle x+\frac{1}{x}=4$ のとき、次の値を求めよ。
(1) $\displaystyle x^2+\frac{1}{x^2}$
(2) $\displaystyle x^3+\frac{1}{x^3}$

「対称式を基本対称式で表す」という【標準】対称式の値で見た方針を使います。

(1)は先ほど見た例と同様にします。
\begin{eqnarray}
x^2+\frac{1}{x^2}
&=&
\left(x+\frac{1}{x}\right)^2 -2x\times\frac{1}{x} \\[5pt] &=&
4^2 -2 =14
\end{eqnarray}

(2)は、まず $x+\frac{1}{x}$ を3乗してみます。
\begin{eqnarray}
\left(x+\frac{1}{x}\right)^3
&=&
x^3+3x^2\times\frac{1}{x}+3x\times\frac{1}{x^2}+\frac{1}{x^3} \\[5pt] &=&
x^3+\frac{1}{x^3} +3\left(x+\frac{1}{x}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}$x$ と $\displaystyle \frac{1}{x}$ がうまいこと打ち消しあうので、シンプルになります。これを使えば
\begin{eqnarray}
x^3+\frac{1}{x^3}
&=&
\left(x+\frac{1}{x}\right)^3 -3\left(x+\frac{1}{x}\right) \\[5pt] &=&
4^3 -3\times 4 \\
&=&
52
\end{eqnarray}と計算することができます。

同様にすれば、4乗や5乗の場合も計算することができます。

例題2

同じような発想で解ける、他の例題を見てみましょう。

【例題】
$\displaystyle x-\frac{1}{x}=4$ のとき、$\displaystyle x^2+\frac{1}{x^2}$ の値を求めよ。

条件式の符号だけが違います。ただ、条件式を2乗すると、求めたい式が出てくることを利用する点は同じです。

条件式を2乗すると次のようになります。
\begin{eqnarray}
\left(x-\frac{1}{x}\right)^2=x^2 -2 +\frac{1}{x^2}
\end{eqnarray}これから、求めたい式の値は、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
x^2+\frac{1}{x^2}
&=&
\left(x-\frac{1}{x}\right)^2 +2 \\
&=&
4^2+2=18
\end{eqnarray}2乗すると、$x$ と $\displaystyle \frac{1}{x}$ がうまい具合に消えてくれる点は同じですね。

例題3

今度は、似ているけど少し違う例を見てみます。

【例題】
$\displaystyle x+\frac{1}{x}=4$ のとき、$\displaystyle x-\frac{1}{x}$ の値を求めよ。

求めたい式は、対称式の形をしていません。なので、$\displaystyle x+\frac{1}{x}$ だけを使って書くことはできません。

この場合は、求めたい式を2乗した値をまず求め、その平方根が答え、という順番で計算します。途中で、例題1の結果も使うと、求めたい式の2乗は次のようになります。
\begin{eqnarray}
\left(x-\frac{1}{x}\right)^2
&=&
x^2 +\frac{1}{x^2} -2 \\
&=&
14 -2 =12 \\
\end{eqnarray}これから、求めたい式の値は、$\pm2\sqrt{3}$となります。2つとも答えになります。

なぜ答えが2つになるかを考えてみましょう。そもそも、$\displaystyle x+\frac{1}{x}=4$ を満たす $x$ は2つあります。$x^2-4x+1=0$ の解なので、$x=2 \pm \sqrt{3}$ です。$x=2+\sqrt{3}$ のときは、\[ \frac{1}{x}=\frac{1}{2+\sqrt{3}} = \frac{2-\sqrt{3}}{4-3}=2-\sqrt{3} \]となり、同様に計算すると、$x=2-\sqrt{3}$ のときは、$\displaystyle \frac{1}{x}=2+\sqrt{3}$ となります。

つまり、$x$ と $\displaystyle \frac{1}{x}$ のうち、どちらかは $2+\sqrt{3}$ でどちらかは $2-\sqrt{3}$ になるんですね。そのため、他の例題のように、2乗や3乗をして足したりしても答えは1つでしたが、引く場合は順番によって答えが変わってしまいます。なので、この例題では、答えは2つになるんですね。

まとめ

$\displaystyle x+\frac{1}{x}$ を使った式の値は、この式を2乗したり3乗をすると計算しやすくなることがあるんですね。【標準】対称式の値とあわせて、使いこなせるようにしておきましょう。