なかけんの数学ノート

【標準】部分分数分解をしてから分数式を足す

ここでは、分数式を足す前に部分分数分解をすると、計算が楽になる例を見ていきます。

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部分分数分解をせずに計算

次の計算をしてみます。\[ \frac{1}{(x-2)(x-1)} +\frac{1}{(x-1)x}+\frac{1}{x(x+1)}+\frac{1}{(x+1)(x+2)} \]

後で簡単に計算する方法を見ますが、まずはそのまま計算してみましょう。通分をして、足し合わせましょう。(式が長いので2行に分割している箇所があります)
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{(x-2)(x-1)} +\frac{1}{(x-1)x}+\frac{1}{x(x+1)}+\frac{1}{(x+1)(x+2)} \\[10pt]
&=&
\frac{x(x+1)(x+2) +(x-2)(x+1)(x+2)}{(x-2)(x-1)x(x+1)(x+2)} \\[5pt]
& &
+ \frac{(x-2)(x-1)(x+2) +(x-2)(x-1)x}{(x-2)(x-1)x(x+1)(x+2)} \\[10pt]
&=&
\frac{(x^3+3x^2+2x) +(x^3+x^2-4x-4)}{(x-2)(x-1)x(x+1)(x+2)} \\[5pt]
& &
+ \frac{(x^3-x^2-4x+4) +(x^3-3x^2+2x)}{(x-2)(x-1)x(x+1)(x+2)} \\[10pt]
&=&
\frac{4x^3-4x}{(x-2)(x-1)x(x+1)(x+2)} \\[10pt]
&=&
\frac{4x(x+1)(x-1)}{(x-2)(x-1)x(x+1)(x+2)} \\[10pt]
&=&
\frac{4}{(x-2)(x+2)}
\end{eqnarray}このようになります。途中でなかなかごつい計算が出てきますが、結果はわりとシンプルになりますね。

部分分数分解をしてから計算

もちろん、上のように計算することもできるのですが、もっと楽に計算する方法があります。そのキーになる式変形を得るために、次の計算をしてみましょう。\[ \frac{1}{x}-\frac{1}{x+1} \]この計算結果は、次のようになります。\begin{eqnarray}
\frac{1}{x}-\frac{1}{x+1} =\frac{x+1-x}{x(x+1)} =\frac{1}{x(x+1)}
\end{eqnarray}これは、上の計算式の3項目です。このことを他の項にも適用すると、上の計算式は次のように変形できることがわかります。
\begin{eqnarray}
\left(\frac{1}{x-2}-\frac{1}{x-1}\right)
+\left(\frac{1}{x-1}-\frac{1}{x}\right)
+\left(\frac{1}{x}-\frac{1}{x+1}\right)
+\left(\frac{1}{x+1}-\frac{1}{x+2}\right)
\end{eqnarray}カッコの中をそれぞれ計算すれば、冒頭の式の各項に一致することがわかります。

さて、この変形後の式をよく見ると、カッコの後の項と、次のカッコの前の項が打ち消し合うことがわかります。つまり、 $\dfrac{1}{x-1}$, $\dfrac{1}{x}$, $\dfrac{1}{x+1}$ は、プラスマイナスで相殺されて、消えることがわかります。最終的に、最初の項と最後の項しか残りません。その結果、次のように計算することができます。
\begin{eqnarray}
\frac{1}{x-2}-\frac{1}{x+2}=\frac{(x+2)-(x-2)}{(x-2)(x+2)}=\frac{4}{(x-2)(x+2)}
\end{eqnarray}上の計算結果と同じですね。

このように、もともとあった分数式を、いくつかの分数式に分解することを、部分分数分解 (partial fraction decomposition) といいます。また、上のように、分数式の差に分解するときは、「部分分数の差に分ける」ということもあります。

部分分数分解をすることで、いくつかの項が打ち消し合うため、分数式の和を簡単に求めることができることがあるんですね。ここでは、分母が $x+a$ と $x+a+1$ の積の形になっていたため、\[ \frac{1}{(x+a)(x+a+1)} = \frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+a+1} \]と変形できました。差が $1$ ではない場合は、一般的には次の変形で分解します。( $a\ne b$ とします)
\begin{eqnarray}
\frac{1}{(x+a)(x+b)} = \frac{1}{b-a} \left(\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}\right)
\end{eqnarray}右辺を計算すれば、左辺になることは確かめられるでしょう。この変形を使って、差に分けると計算が簡単になる場合があります。

おわりに

ここでは、部分分数分解を行うと、分数式の和が簡単に計算できるようになる例を見ました。いつでも部分分数分解ができるわけではありませんが、分母が一次式の積になっている場合には使えることがあります。計算が省略できるかもしれないので、覚えておきましょう。

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対象者: 数学II
分野: 式と証明
トピック: 式の計算
レベル: 標準
キーワード: 式の計算
更新日:2017/05/09