【標準】法線ベクトル

ここでは、あるベクトルに垂直な直線や、ある直線に垂直なベクトルについて見ていきます。【標準】直線のベクトル方程式と成分とも関連している内容です。導き方が違うだけで、同じような内容を考えています。

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あるベクトルに垂直な直線のベクトル方程式

【基本】直線のベクトル方程式では、あるベクトルに平行な直線のベクトル方程式を見ました。ここでは、あるベクトルに垂直な直線のベクトル方程式を見ていきましょう。

点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$ を通り、 $\vec{n}\ (\ne\vec{0})$ に垂直な直線について考えます。この直線上の点 P の位置ベクトル $\vec{p}$ が満たす方程式を考えてみましょう。

PA と異なる点にいるとき、 $\overrightarrow{ \mathrm{ AP } }$ は、 $\vec{n}$ と垂直なので、【基本】ベクトルの内積となす角で見た通り、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ AP } }\cdot\vec{n}=0 \]が成り立ちます。また、これは PA にいるときも成り立ちます。

この式を変形すると
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{ \mathrm{ AP } }\cdot\vec{n} &=& 0 \\
(\vec{p}-\vec{a})\cdot\vec{n} &=& 0 \\
\end{eqnarray}となります。逆に、これを満たせば、 P がこの直線上にあることもわかります(上の式が成り立つのは、 A と一致するか、 $\overrightarrow{ \mathrm{ AP } }$ と $\vec{n}$ が垂直のときだけなので)。

以上から、この式が求めるベクトル方程式となります。

あるベクトルに垂直な直線のベクトル方程式
点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$ を通り、 $\vec{n}\ (\ne\vec{0})$ に垂直な直線のベクトル方程式は、次で表される。\[ (\vec{p}-\vec{a})\cdot\vec{n} = 0 \]

平行な直線のときとは異なり、媒介変数は出てきません。

垂直な直線のベクトル方程式と成分

上のベクトル方程式を、成分で書いてみましょう。

$\vec{a}=(p,q)$ $\vec{n}=(a,b)$, $\vec{p}=(x,y)$ とします。このとき、上のベクトル方程式は
\begin{eqnarray}
(\vec{p}-\vec{a})\cdot\vec{n} &=& 0 \\[5pt] (x-p,y-q)\cdot(a,b) &=& 0 \\[5pt] a(x-p)+b(y-q) &=& 0 \\[5pt] ax+by+(-ap-bq) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

元のベクトル方程式は、 $\vec{n}=(a,b)$ と垂直な直線を考えていました。よって、最後に得られた直線の方程式も、 $\vec{n}$ と垂直な直線です。このことから、 $\vec{n}=(a,b)$ と $ax+by+c=0$ は垂直、ということがわかります。

冒頭では、「あるベクトルに垂直な直線」について考えましたが、直線を基準として言い換えれば、「ある直線に垂直なベクトル」ということもできます。このベクトルには、法線ベクトル(normal vector) という名前がついています。

法線ベクトル
ある直線に垂直なベクトルを、その直線の法線ベクトルという。

ここまでの内容をまとめると、次のようになります。

直線と法線ベクトル
点 $(p,q)$ を通り、法線ベクトルが $\vec{n}=(a,b)$ となる直線の方程式は、次で表される。\[ a(x-p)+q(y-q)=0 \]

$\vec{n}=(a,b)$ は、直線 $ax+by+c=0$ の法線ベクトルである。

直線の方程式の係数を使うだけで、垂直なベクトルがサクッと分かるのは便利です。

例えば、点 $(1,2)$ を通り、 $\vec{n}=(3,4)$ に垂直な直線の方程式は
\begin{eqnarray}
3(x-1)+4(y-2) &=& 0 \\[5pt] 3x+4y-11 &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

おわりに

ここでは、ベクトルに垂直な直線や、直線に垂直なベクトルを見ました。直線の方程式の係数と、それに垂直なベクトルの成分が対応している、ということをおさえておきましょう。