【標準】分母に項が複数あるときの有理化

$\sqrt{2}$ は、$1.41421356\cdots$と続いていく数です。これを踏まえて、$\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}}$ はどれくらいの値になるでしょうか。これを暗算で求めるのはなかなか大変ですよね。

しかし、分母分子に$\sqrt{2}$を掛けて、$\displaystyle \frac{\sqrt{2}}{2}$ としてみるとどうでしょう。$0.7071\cdots$ くらいだな、と暗算でも計算できるようになりますよね。

このように、分母がルートを含まないようにすると、計算しやすくなります。ここでは、この計算方法「有理化」について学んでいきます。前半はすでに習った内容かもしれませんが、後半には新しいタイプの有理化が出てきます。

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有理化の基本

冒頭のように、分母にルートがある分数を変形して、分母がルートを含まないようにすることを「有理化」と言います。

例えば、$\frac{2}{\sqrt{3}}$を考えてみましょう。「2乗するとルートが消える」ので、分母分子に$\sqrt{3}$を掛ければいいですね。よって、有理化をすると次のようになります。
\begin{eqnarray}
\frac{2}{\sqrt{3}} = \frac{2\times\sqrt{3}}{\sqrt{3}\times\sqrt{3}}=\frac{2\sqrt{3}}{3}
\end{eqnarray}

また、次のように約分ができるときは、もちろん約分も行います。
\begin{eqnarray}
\frac{18}{\sqrt{6}} = \frac{18\sqrt{6}}{6}=3\sqrt{6}
\end{eqnarray}このように、約分した結果、分数ではなくなることもあります。

上の式は、慣れてくると、分子を分解して、次のような変形もできるようになってきます。
\begin{eqnarray}
\frac{18}{\sqrt{6}} = \frac{3\times \sqrt{6}\times \sqrt{6}}{\sqrt{6}}=3\sqrt{6}
\end{eqnarray}

ただ、基本的には、次のことを覚えておけばいいでしょう。

分母がルート1つだけの場合は、そのルートを分母分子に掛けて有理化する

「ルート1つだけ」とは、妙な書き方ですね。次は「1つのルートだけ」じゃない場合が出てきます。

分母に項が2つあるときの有理化

分母が「ルートナントカ」となっていれば、有理化は簡単にできます。その数を分母分子に掛ければOKです。しかし、2項ある場合は、急に難しくなります。次の例を考えてみます。

次の式の分母を有理化せよ。
$\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}+1}$

今度は、$\sqrt{2}$を分母分子に掛けても意味がありません。分母からルートがなくなりません。$\sqrt{2}+1$を掛けても同様です。

これはやり方を知らないと思いつかないです。ここでポイントになるのは、次の公式です。

$(x+y)(x-y)=x^2-y^2$

この右辺を見ると、2乗しかありません。これを使えば、ルートがなくなりそうです。

上の公式を次のように使って、有理化します。分母分子に「$\sqrt{2}-1$」を掛けています。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{\sqrt{2}+1} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{2}-1}{(\sqrt{2}+1)(\sqrt{2}-1)} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{2}-1}{2-1} \\[5pt] &=&
\sqrt{2}-1 \\[5pt] \end{eqnarray}はじめの式に比べると、だいぶ見やすい式に変わりますね。

分母に「2つのルート」や「1つのルートと整数」がある場合は、次のようにして有理化を行います。

$\displaystyle \frac{c}{\sqrt{a}+\sqrt{b}}$ は、分母分子に$\sqrt{a}-\sqrt{b}$ を掛けて有理化する。

$\displaystyle \frac{c}{\sqrt{a}+b}$ は、分母分子に$\sqrt{a}-b$ を掛けて有理化する。

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分母に項が3つ以上あるときの有理化

項が3つあるときも、基本的にやることは同じです。1個1個順番にルートを消していきます。

次の式の分母を有理化せよ。
$\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{5}}$

これはまず、「$\sqrt{2}+\sqrt{3}$」と「$\sqrt{5}$」と分けて考えます。計算が大変そうに見えますが、基本的な考え方は同じです。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{5}} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{2}+\sqrt{3}-\sqrt{5}}{(\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{5})(\sqrt{2}+\sqrt{3}-\sqrt{5})} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{2}+\sqrt{3}-\sqrt{5}}{(\sqrt{2}+\sqrt{3})^2 -5} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{2}+\sqrt{3}-\sqrt{5}}{5+2\sqrt{6}-5} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{2}+\sqrt{3}-\sqrt{5}}{2\sqrt{6}} \\[5pt] &=&
\frac{(\sqrt{2}+\sqrt{3}-\sqrt{5})\sqrt{6}}{12} \\[5pt] &=&
\frac{2\sqrt{3}+3\sqrt{2}-\sqrt{30}}{12} \\[5pt] \end{eqnarray}

まとめ

ここでのポイントは、分母に項が2つ以上あるときは、「$(x+y)(x-y)=x^2-y^2$」の公式を使えるように変形する、ということですね。これを押さえておけば、有理化の計算は怖くはないでしょう。