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【基本】実数の2乗と不等式の証明

ここでは、「実数の2乗」を使った、不等式の証明問題を見ていきます。

📘 目次

実数の2乗

通常、不等式の証明問題は、条件式を利用して目的の不等式を示すことが多いのですが、条件式がなくても成り立つ不等式がいくつかあります。最も基本的なものが、「実数の2乗」に関係するものです。

a を実数とするとき、 a が正なら、 $a^2\gt0$ が成り立ちます。また、負の場合も、やはり $a^2\gt0$ が成り立ちます。「ゼロでない実数を2乗すると正になる」というのは、いつでも使うことができます。

$a=0$ の場合は $a^2=0$ ですね。この逆、つまり、 $a^2=0$ なら $a=0$ が成り立つことも、当たり前ですが重要です。

ゼロでないときとゼロのときをまとめた、「実数を2乗すると、ゼロ以上になる」ということもよく使います。

ここまでの内容は、今までに学んできたことから当たり前に感じるものばかりでしょう。ただ、大事なのはこれらをいつ使うかということです。次の例題を見てみましょう。

例題
実数 $a$ について、次の不等式が成り立つことを示しなさい。また、等号が成り立つときはどのようなときか答えなさい。\[ a^2+1 \geqq 2a \]

a が負のとき、左辺は正なので、この不等式が成り立つのは当たり前ですね。 $a=0$ のときも同様です。問題は正のときです。

$2a$ が1より小さいときに成り立つこともわかるでしょう。また、 $a$ が2よりも大きいときも $a^2 \gt 2a$ だから成り立つことがわかります。

しかし、これらの間は少し微妙です。例えば、 $a$ が1に近い場合、 $a^2+1$ は2くらいだし、 $2a$ も2くらいで、本当に左辺が右辺以上になるのか、パッとはわかりません。しかも、 $a$ に関しては、特に条件が付いていません。

このように、条件式がない不等式の場合、「実数を2乗するとゼロ以上になる」ということを使うことがよくあります。というか、これくらいしか使うものがありません。

今の場合、左辺から右辺を引くと
\begin{eqnarray} & & (a^2+1)-2a \\ &=& a^2-2a+1 \\ &=& (a-1)^2 \\ &\geqq& 0 \end{eqnarray}となります。最後の部分で、「2乗するとゼロ以上になる」を使っています。このことから、左辺は右辺以上であることが示せました。

また、等号が成り立つのは、最後の不等式で $(a-1)^2=0$ となるときなので、 $a-1=0$ つまり、 $a=1$ のときであることがわかります。

「実数を2乗するとゼロ以上になる」ということを、いつどこで使っているか、「 $a^2=0$ なら $a=0$ 」をどこで使っているかを意識して上の流れを読んでみましょう。当たり前のことしか使っていませんが、使い方に慣れていないと難しく感じるかもしれません。

等号成立条件について

不等式の証明問題では、上の例題のように $\geqq$ や $\leqq$ といった「等号」がついていることがあります。

上の例題では、問題文に「等号が成立するときはいつか?」とあります。しかし、この文言がなくても、入試問題などでは、等号が成立するときを答えるのが一般的です。不等式の証明問題では、等号成立条件を答えることも問題に含まれている、と考えておいたほうがいいでしょう。

等号成立条件を最後に書いていない場合、減点対象となることがあります。そのため、入試の過去問や問題集の解答でも、基本的に等号成立条件がかかれていることが多いです。

おわりに

ここでは、実数の2乗を用いた、不等式の証明問題を見てきました。「2乗するとゼロ以上になる」ということ自体は当たり前ですが、「左辺引く右辺がゼロ以上になる」ことを示すときにどう利用するか、よく理解しておきましょう。

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