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共通テスト 数学II・数学B 2021年度 第1問 [2] 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【必答問題】

問題編

問題

 二つの関数 $f(x)=\dfrac{2^x+2^{-x} }{2}$, $g(x)=\dfrac{2^x-2^{-x} }{2}$ について考える。

(1) $f(0)=\myBox{セ}$, $g(0)=\myBox{ソ}$ である。また、 $f(x)$ は相加平均と相乗平均の関係から $x=\myBox{タ}$ で最小値 $\myBox{チ}$ をとる。 $g(x)=-2$ となる $x$ の値は $\log_2\left(\sqrt{\myBox{ツ} }-\myBox{テ}\right)$ である。

(2) 次の①~④は、 $x$ にどのような値を代入してもつねに成り立つ。

 $f(-x)=\myBox{ト}$   …①
 $g(-x)=\myBox{ナ}$   …②
 $\{f(x)\}^2-\{g(x)\}^2=\myBox{ニ}$   …③
 $g(2x)=\myBox{ヌ}f(x)g(x)$   …④

$\mybox{ト}$, $\mybox{ナ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)

 0: $f(x)$
 1: $-f(x)$
 2: $g(x)$
 3: $-g(x)$

(3) 花子さんと太郎さんは、 $f(x)$ と $g(x)$ の性質について話している。

  • ①~④は三角関数の性質について似ているね。
  • 三角関数の加法定理に類似した式(A)~(D)を考えてみたけど、つねに成り立つ式はあるだろうか。
  • 成り立たない式を見つけるために、式(A)~(D)の $\beta$ に何か具体的な値を代入して調べてみたらどうかな。

 

太郎さんが考えた式
 $f(\alpha-\beta)=f(\alpha)g(\beta)+g(\alpha)f(\beta)$   …(A)
 $f(\alpha+\beta)=f(\alpha)f(\beta)+g(\alpha)g(\beta)$   …(B)
 $g(\alpha-\beta)=f(\alpha)f(\beta)+g(\alpha)g(\beta)$   …(C)
 $g(\alpha+\beta)=f(\alpha)g(\beta)-g(\alpha)f(\beta)$   …(D)

 (1), (2)で示されたことのいくつかを利用すると、式(A)~(D)のうち、 $\myBox{ネ}$ 以外の三つは成り立たないことがわかる。 $\mybox{ネ}$ は左辺と右辺をそれぞれ計算することによって成り立つことが確かめられる。

$\mybox{ネ}$ の解答群

 0: (A)
 1: (B)
 2: (C)
 3: (D)

考え方

(1)は、指数関数・対数関数に関する典型的な計算問題です。(2)は少し抽象的な計算になりますが、これもそれほど難しくないでしょう。(3)は、 $\beta$ にいい値を代入して候補を消していきます。いくつか候補がありますが、簡単なものから試していくといいでしょう。


解答編

問題

 二つの関数 $f(x)=\dfrac{2^x+2^{-x} }{2}$, $g(x)=\dfrac{2^x-2^{-x} }{2}$ について考える。

(1) $f(0)=\myBox{セ}$, $g(0)=\myBox{ソ}$ である。また、 $f(x)$ は相加平均と相乗平均の関係から $x=\myBox{タ}$ で最小値 $\myBox{チ}$ をとる。 $g(x)=-2$ となる $x$ の値は $\log_2\left(\sqrt{\myBox{ツ} }-\myBox{テ}\right)$ である。

解説

\begin{eqnarray} & & f(0)=\frac{2^0+2^0}{2}=1 \\[5pt] & & g(0)=\frac{2^0-2^0}{2}=0 \\[5pt] \end{eqnarray}です。また、相加平均と相乗平均の関係から \begin{eqnarray} \frac{2^x+2^{-x} }{2}\geqq \frac{2\sqrt{2^x\cdot2^{-x} }}{2}=1 \end{eqnarray}が成り立ちます。 $x=0$ のときに等号が成り立つので、最小値は $1$ だとわかります。

$g(x)=-2$ となる $x$ は $2^x=t$ とおくと
\begin{eqnarray} \frac{2^x-2^{-x} }{2} &=& -2 \\[5pt] 2^{2x}-1 &=& 4\cdot -2^x \\[5pt] t^2+4t-1 &=& 0 \\[5pt] t &=& \frac{-4\pm\sqrt{16+4} }{2} \\[5pt] &=& -2\pm\sqrt{5} \end{eqnarray}となります。 $t\gt 0$ なので、 $t=\sqrt{5}-2$ だから、 $x=\log_2(\sqrt{5}-2)$ と求められます。

解答

セソ:10
タチ:01
ツテ:52

解答編 つづき

(2) 次の①~④は、 $x$ にどのような値を代入してもつねに成り立つ。

 $f(-x)=\myBox{ト}$   …①
 $g(-x)=\myBox{ナ}$   …②
 $\{f(x)\}^2-\{g(x)\}^2=\myBox{ニ}$   …③
 $g(2x)=\myBox{ヌ}f(x)g(x)$   …④

$\mybox{ト}$, $\mybox{ナ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)

 0: $f(x)$
 1: $-f(x)$
 2: $g(x)$
 3: $-g(x)$

解説

\begin{eqnarray} f(-x) &=& \frac{2^{-x}+2^{-(-x)} }{2} \\[5pt] &=& \frac{2^{-x}+2^x}{2} \\[5pt] &=& f(x) \end{eqnarray}であり、 \begin{eqnarray} g(x) &=& \frac{2^{-x}-2^{-(-x)} }{2} \\[5pt] &=& \frac{2^{-x}-2^x}{2} \\[5pt] &=& -\frac{2^x-2^{-x} }{2} \\[5pt] &=& -g(x) \end{eqnarray}となります。

また、
\begin{eqnarray} & & \{f(x)\}^2-\{g(x)\}^2 \\[5pt] &=& \left(\frac{2^x+2^{-x} }{2}\right)^2-\left(\frac{2^x-2^{-x} }{2}\right)^2 \\[5pt] &=& \frac{4^x+2+4^{-x} }{4}-\frac{4^x-2-4^{-x} }{4} \\[5pt] &=& 1 \end{eqnarray}と求められます。答えを出すだけであれば、 $x=0$ として、(1)の結果を使う方法もあります。

最後の式は、左辺は
\begin{eqnarray} g(2x)=\frac{2^{2x}-2^{-2x} }{2} \end{eqnarray}であり、右辺にある $f(x)g(x)$ を計算すると \begin{eqnarray} & & \frac{2^x+2^{-x} }{2}\cdot \frac{2^x-2^{-x} }{2} \\[5pt] &=& \frac{2^{2x}+2^{-2x} }{4} \end{eqnarray}となることから、 $g(2x)=2f(x)g(x)$ となります。

解答

トナニヌ:0312

解答編 つづき

(3) 花子さんと太郎さんは、 $f(x)$ と $g(x)$ の性質について話している。

  • ①~④は三角関数の性質について似ているね。
  • 三角関数の加法定理に類似した式(A)~(D)を考えてみたけど、つねに成り立つ式はあるだろうか。
  • 成り立たない式を見つけるために、式(A)~(D)の $\beta$ に何か具体的な値を代入して調べてみたらどうかな。

 

太郎さんが考えた式
 $f(\alpha-\beta)=f(\alpha)g(\beta)+g(\alpha)f(\beta)$   …(A)
 $f(\alpha+\beta)=f(\alpha)f(\beta)+g(\alpha)g(\beta)$   …(B)
 $g(\alpha-\beta)=f(\alpha)f(\beta)+g(\alpha)g(\beta)$   …(C)
 $g(\alpha+\beta)=f(\alpha)g(\beta)-g(\alpha)f(\beta)$   …(D)

 (1), (2)で示されたことのいくつかを利用すると、式(A)~(D)のうち、 $\myBox{ネ}$ 以外の三つは成り立たないことがわかる。 $\mybox{ネ}$ は左辺と右辺をそれぞれ計算することによって成り立つことが確かめられる。

$\mybox{ネ}$ の解答群

 0: (A)
 1: (B)
 2: (C)
 3: (D)

解説

(1)を見ると、 $x=0$ としたときの値が使えそうです。 $\beta=0$ とすると、(A)の左辺は $f(\alpha)$ となり、右辺は\[ f(\alpha)g(0)+g(\alpha)f(0)=g(\alpha) \]となります。一致しないので、(A)は成り立ちません。

(C)に代入すると、左辺は $g(\alpha)$ であり、右辺は $f(\alpha)$ なので、これも成り立ちません。

(D)に代入すると、左辺は $g(\alpha)$ であり、右辺は $-g(\alpha)$ となり、これも成り立ちません。

結果的に、(B)しか残りません。

解答を選ぶには必要ありませんが、念のため確かめてみます。

(B)の右辺は
\begin{eqnarray} & & f(\alpha)f(\beta)+g(\alpha)g(\beta) \\[5pt] &=& \frac{2^{\alpha}+2^{-\alpha} }{2}\cdot\frac{2^{\beta}+2^{-\beta} }{2}+\frac{2^{\alpha}-2^{-\alpha} }{2}\cdot\frac{2^{\beta}-2^{-\beta} }{2} \\[5pt] &=& \frac{2^{\alpha+\beta}+2^{\alpha-\beta}+2^{-\alpha+\beta}+2^{-\alpha-\beta} }{4} \\ & & +\frac{2^{\alpha+\beta}-2^{\alpha-\beta}-2^{-\alpha+\beta}+2^{-\alpha-\beta} }{4} \\[5pt] &=& \frac{2^{\alpha+\beta}+2^{-\alpha-\beta} }{2} \\[5pt] &=& f(\alpha+\beta) \\[5pt] \end{eqnarray}となり、左辺と一致します。

解答

ネ:1

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