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京都大学 理系 2013年度 第5問 解説

問題編

問題

 $xy$ 平面内で、 $y$ 軸上の点 P を中心とする円 $C$ が2つの曲線
\begin{eqnarray} & & C_1: y=\sqrt{3} \log(1+x), \\[5pt] & & C_2: y=\sqrt{3} \log(1-x) \end{eqnarray}とそれぞれ点 A, 点 B で接しているとする。さらに $\triangle \mathrm{ PAB }$ は AB が $y$ 軸に関して対称な位置にある正三角形であるとする。このとき3つの曲線 $C$, $C_1$, $C_2$ で囲まれた部分の面積を求めよ。

考え方

まずは、点 A の座標を求めましょう。長さと角度の2つの攻め方がありますが、 AB が $x$ 軸と平行なので、角度を使うほうが求めやすいでしょう。

座標を求めた後は、積分をします。 $C, C_1, C_2$ で囲まれた部分を愚直に求めるのは大変なので、工夫して計算しましょう。


解答編

問題

 $xy$ 平面内で、 $y$ 軸上の点 P を中心とする円 $C$ が2つの曲線
\begin{eqnarray} & & C_1: y=\sqrt{3} \log(1+x), \\[5pt] & & C_2: y=\sqrt{3} \log(1-x) \end{eqnarray}とそれぞれ点 A, 点 B で接しているとする。さらに $\triangle \mathrm{ PAB }$ は AB が $y$ 軸に関して対称な位置にある正三角形であるとする。このとき3つの曲線 $C$, $C_1$, $C_2$ で囲まれた部分の面積を求めよ。

解答

$f(x)=\sqrt{3}\log(1+x)$ とする。

A の $x$ 座標を $a$ とする( $a\gt -1$ )と、点 B の $x$ 座標は $-a$ で、2点の $y$ 座標はどちらも $f(a)$ である。

\begin{eqnarray} f'(x) &=& \frac{\sqrt{3} }{1+x} \end{eqnarray}なので、点 A における $y=f(x)$ の接線の傾きは $\dfrac{\sqrt{3} }{1+a}$ であり、法線の傾きは $-\dfrac{1+a}{\sqrt{3} }$ である。 AB は $x$ 軸に平行で、 $\angle \mathrm{ PAB }=60^{\circ}$ であり、点 P は法線上にあるから、 \begin{eqnarray} -\frac{1+a}{\sqrt{3} } &=& \pm \sqrt{3} \\[5pt] a+1 &=& \pm 3 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。 $a\gt -1$ なので、 $a=2$ である。このとき、対称性から $\angle \mathrm{ PBA }$ も $60^{\circ}$ なので、 $\triangle \mathrm{ PAB }$ は正三角形となる。

曲線 $C, C_1, C_2$ で囲まれた部分のうち、 $y$ 軸より右にある部分を $D$ とおく。また、線分 AP と $y$ 軸と曲線 $C$ で囲まれた部分を $E$ とおき、線分 AP と $y$ 軸と曲線 $C_1$ で囲まれた部分を $E_1$ とおく。 $D$ の面積は、 $E_1$ の面積から $E$ の面積を引いて求められる。

$E$ は、半径が $\mathrm{ PA }=\mathrm{ AB }=4$ で、中心角が $30^{\circ}$ のおうぎ形なので、 $E$ の面積は、\[ 4^2\pi\times\frac{30}{360}=\frac{4}{3}\pi \]である。

直線 AP の方程式は
\begin{eqnarray} y &=& -\frac{1}{f'(a)}(x-a)+f(a) \\[5pt] &=& -\sqrt{3}(x-2)+\sqrt{3}\log3 \\[5pt] \end{eqnarray}なので、 $E_1$ の面積は \begin{eqnarray} & & \int_0^2 \left\{-\sqrt{3}(x-2)+\sqrt{3}\log3-\sqrt{3}\log(1+x)\right\} dx \\[5pt] &=& \left[ -\frac{\sqrt{3} }{2}(x-2)^2 +x\sqrt{3}\log3 -(1+x)\sqrt{3}\log(1+x) \right]_0^2 \\ & & +\int_0^2 \frac{(1+x)\sqrt{3} }{1+x} dx \\[5pt] &=& 2\sqrt{3}\log3 -3\sqrt{3}\log3 +\frac{\sqrt{3} }{2}\cdot (-2)^2 \\ & & +[x\sqrt{3}]_0^2 \\[5pt] &=& -\sqrt{3}\log3 +2\sqrt{3}+2\sqrt{3} \\[5pt] &=& 4\sqrt{3}-\sqrt{3}\log3 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。

以上から、 $D$ の面積は $E_1$ の面積から $E$ の面積を引いて求められ、 $C,C_1,C_2$ で囲まれた部分は $D$ の面積の2倍なので、
\begin{eqnarray} & & 2 \times \left( 4\sqrt{3}-\sqrt{3}\log3 -\frac{4}{3}\pi \right) \\[5pt] &=& 8\sqrt{3}-2\sqrt{3}\log3 -\frac{8}{3}\pi \\[5pt] \end{eqnarray}が求める面積となる。

(終)

解説

正三角形となる条件は、 AB が $x$ 軸に平行であることから、角度を利用するやり方がいいでしょう。

面積を求めるには、まず対称性から右半分だけを考えます。また、 $C$, $C_1$ で囲まれた部分を直接積分するのは大変ですが、おうぎ形の面積が出てくるように図形を変形してから求めるようにしましょう。

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