🏠 Home / センター試験 / センターIA

センター試験 数学I・数学A 2019年度追試 第4問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)

問題編

問題

 $560$ の約数で $2$ の累乗であるもののうち、最大のものは $16$ であり\[ 560=16\times\myBox{アイ} \quad \cdots ① \]である。また、\[ 560=13\times\myBox{ウエ}+1 \quad \cdots ② \]である。

(1) ①と②より、 $x=\mybox{アイ}$, $y=\mybox{ウエ}$ は不定方程式\[ 16x=13y+1 \]の一つの整数解となる。

 $c$ を整数とするとき、不定方程式\[ 16x=13y+c \]のすべての整数解は、 $s$ を整数として
\begin{eqnarray} x &=& \myBox{オカ}s+\mybox{アイ}c \ , \\[5pt] y &=& \myBox{キク}s+\mybox{ウエ}c \end{eqnarray}と表せる。


 以下の(2), (3), (4)では、 $560^2$ で割った商が $1$ であるような自然数 $k$ を考え、 $k$ を $560^2$ で割った余りを $\ell$ とし、さらに $\ell$ を $560$ で割った商を $q$ 、余りを $r$ とする。このとき\[
k=560^2+560q+r \]と表せる。

(2) $k$ が $16$ の倍数であるのは、 $r$ が $\myBox{ケコ}$ の倍数のときである。また、 $560^2$ を $13$ で割った余りは $\myBox{サ}$ であるので、 $k$ が $13$ の倍数であるのは、 $\mybox{サ}+q+r$ が $\myBox{シス}$ の倍数のときである。

(3) $k$ は、 $16$ でも $13$ でも割り切れるような最小のものとする。このとき、 $q=\myBox{セ}$, $r=\myBox{ソタ}$ である。

(4) $\sqrt{k}$ が自然数となるとき、 $k$ は、 $0$ 以上のある整数 $m$ により\[ k=(560+m)^2 \]と表せる。

 $k$ は、 $16$ でも $13$ でも割り切れ、かつ $\sqrt{k}$ が自然数となるような最小のものとする。このとき、 $m=\myBox{チツ}$ であり、 $q=\myBox{テト}$, $r=\myBox{ナニヌ}$ である。

考え方

(1)は、不定方程式の整数解を求める一般的な問題です。

(2)以降は、別の切り口で問題を考えていきますが、(1)の結果を使って解く場面もあります。(4)は、(3)とはまた別の考え方を使って解きます。


【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)

解答編

問題

 $560$ の約数で $2$ の累乗であるもののうち、最大のものは $16$ であり\[ 560=16\times\myBox{アイ} \quad \cdots ① \]である。また、\[ 560=13\times\myBox{ウエ}+1 \quad \cdots ② \]である。

解説

\[ 560\div 16=35 \]です。また、\[ (560-1)\div 13=43 \]と求められます。

解答

アイ:35
ウエ:43

解答編 つづき

(1) ①と②より、 $x=\mybox{アイ}$, $y=\mybox{ウエ}$ は不定方程式\[ 16x=13y+1 \]の一つの整数解となる。

 $c$ を整数とするとき、不定方程式\[ 16x=13y+c \]のすべての整数解は、 $s$ を整数として
\begin{eqnarray} x &=& \myBox{オカ}s+\mybox{アイ}c \ , \\[5pt] y &=& \myBox{キク}s+\mybox{ウエ}c \end{eqnarray}と表せる。

解説

①と②より、\[ 16\times35=13\times 43+1 \]が成り立ちます。両辺に $c$ を掛けると\[ 16\times 35c=13\times 43c+c \]となるので、 $x=35c$, $y=43c$ は、 $16x=13y+c$ の整数解の1つであることがわかります。これを用いて、整数解を求めましょう。

辺々引けば\[ 16(x-35c)=13(y-43c) \]となります。 $16$ と $13$ は互いに素なので、整数 $s$ を用いて、 $x-35c=13s$, $y-43c=16s$ と書けます。つまり、
\begin{eqnarray} x &=& 13s+35c \\[5pt] y &=& 16s+43c \\[5pt] \end{eqnarray}と表すことができます。

解答

オカ:13
キク:16

参考

【標準】不定一次方程式の整数解 ax+by=cの場合

解答編 つづき

 以下の(2), (3), (4)では、 $560^2$ で割った商が $1$ であるような自然数 $k$ を考え、 $k$ を $560^2$ で割った余りを $\ell$ とし、さらに $\ell$ を $560$ で割った商を $q$ 、余りを $r$ とする。このとき\[
k=560^2+560q+r \]と表せる。

(2) $k$ が $16$ の倍数であるのは、 $r$ が $\myBox{ケコ}$ の倍数のときである。また、 $560^2$ を $13$ で割った余りは $\myBox{サ}$ であるので、 $k$ が $13$ の倍数であるのは、 $\mybox{サ}+q+r$ が $\myBox{シス}$ の倍数のときである。

解説

問題文にある通り、 $k=560^2+560q+r$ の場合を考えます。 $560$ は $16$ の倍数なので、 $k$ が $16$ の倍数であることと $r$ が $16$ の倍数であることは同値となります。

$560$ を $13$ で割った余りが $1$ なので、 $560^2$ を $13$ で割った余りは $1^2=1$ となります。よって、 $k=560^2+560q+r$ を $13$ で割った余りは $1+q+r$ を $13$ で割った余りと等しくなります。このことから、 $k$ が $13$ の倍数であることは $1+q+r$ が $13$ の倍数であることと同値です。

解答

ケコ:16
サ:1
シス:13

解答編 つづき

(3) $k$ は、 $16$ でも $13$ でも割り切れるような最小のものとする。このとき、 $q=\myBox{セ}$, $r=\myBox{ソタ}$ である。

解説

(2)より、 $k$ が $16$ で割り切れることと $r$ が $16$ で割り切れることは同値です。なので、 $r$ が $16$ の倍数であるときを考えます。

また、 $k$ が $13$ で割り切れることと $1+q+r$ が $13$ で割り切れることは同値です。なので、 $1+q+r$ が $13$ の倍数であるときを考えます。

$k=560^2+560q+r$ なので、 $k$ を小さくするには、 $q$ を小さくすることを考えたほうがいいですね。 $k$ を $560^2$ で割ったときの商が $1$ なので、 $q$ も $r$ も0以上の整数であることに注意して考えていきます。

$q$ が一番小さくなるのは、 $q=0$ のときです。この状況で、 $r$ が $16$ の倍数で $r+1$ が $13$ の倍数になるときがあって、しかもそれが $560$ より小さければ、それが答えとなります。このような組み合わせは、(1)を使えば求められそうですね。

$r+1$ が $13$ の倍数になるということは、 $r$ は、 $13$ の倍数に $12$ を足したものなので、(1)で $c=12$ とすればいいです。 $r$ は、整数 $s$ を用いて\[ 16\cdot(13s+35\times 12)=16(13s+420) \]と書けることがわかります。このように書けるもののうち、0以上で最小となるのは、 $s=-32$ のときです。このとき、\[ r=16 \{13\cdot(-32)+420 \}=64 \]と求められます。

以上から、 $q=0$, $r=64$ のときであることがわかります。

解答

セ:0
ソタ:64

解答編 つづき

(4) $\sqrt{k}$ が自然数となるとき、 $k$ は、 $0$ 以上のある整数 $m$ により\[ k=(560+m)^2 \]と表せる。

 $k$ は、 $16$ でも $13$ でも割り切れ、かつ $\sqrt{k}$ が自然数となるような最小のものとする。このとき、 $m=\myBox{チツ}$ であり、 $q=\myBox{テト}$, $r=\myBox{ナニヌ}$ である。

解説

$(560+m)^2$ が $16$ で割り切れることは、 $m^2$ が $16$ で割り切れることと同値であり、 $m$ が $4$ の倍数であることと同値です。

また、 $560$ を $13$ で割った余りが $1$ であることから、 $(560+m)^2$ を $13$ で割った余りは $(m+1)^2$ を $13$ で割った余りと等しいです。 $13$ は素数なので、 $(m+1)^2$ が $13$ で割り切れることと $m+1$ が $13$ で割り切れることと同値です。

以上から、 $k=(560+m)^2$ が $16$ でも $13$ でも割り切れることは、 $m$ が $4$ の倍数で $13$ で割った余りが $12$ であることと同値であり、0以上の値でこれを満たす最小の $m$ は $12$ です。

このとき、\[ (560+12)^2=560^2+24\cdot 560+144 \]であり、 $144\lt 560$ なので、 $q=24$, $m=144$ となります。

(3)では、 $r$ が $16$ の倍数であり、 $13$ で割ったときの余りが $12$ となる場合を考えました。このときは、 $16$ と $13$ がわりと大きな数なので、見つけるのは大変です。そのため問題文の前半で見たような不定方程式を利用して見つけやすくしました。一方、(4)では、 $m$ が $4$ の倍数であり、 $13$ で割ったときの余りが $12$ となる場合を考えました。この場合は数が小さく、このような数はすぐに見つけられるので、不定方程式を利用することなく答えを見つけられます。

解答

チツ:12
テト:24
ナニヌ:144

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
慶應義塾大学薬学部2024年度数学第1問5 同志社大学文系2024年度数学第1問3 昭和大学医学部I期2024年度数学第2問 兵庫医科大学2024年度数学第3問 共通テスト2B2024年度第3問2のヒントについて 久留米大学医学部推薦2024年度数学第4問