【標準】三角比と内接円

ここでは、三角比と内接円の半径について見ていきます。

なお、 $\mathrm{ AB }=c$, $\mathrm{ BC }=a$, $\mathrm{ CA }=b$ と書き、角の大きさは $\angle \mathrm{ CAB }=A$, $\angle \mathrm{ ABC }=B$, $\angle \mathrm{ BCA }=C$ と書くことにします。

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内接円の半径

正弦定理で外接円の半径が出てきましたが、ここでは内接円の半径を考えます。内接円とは、すべての辺に接する円のことです。内接円が三角比の分野で出てくるときは、三角形の面積とからめて出てくることがほとんどです。

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内接円の中心を I とし、半径を r とします。このとき、三角形 IAB に注目します。内接円は AB に接しているので、 AB を底辺だと考えると、 r が高さとなります。なので、三角形 IAB の面積は $\displaystyle \frac{cr}{2}$ と書けます。

同様に考えると、次のことがわかります。

三角形 ABC の面積を S 、内接円の半径を r とすると、次が成り立つ。\[ S=\frac{1}{2} r(a+b+c) \]

このことを利用して、例題を解いてみましょう。

例題

【例題】
三角形 ABC において、 $a=4$, $b=5$, $c=6$ とする。このとき、三角形 ABC の内接円の半径 r を求めなさい。

上で見た通り、内接円の半径は、三角形の面積を使えば求めることができます。面積をパッと出すことはできませんが、【標準】三角比と三角形の面積で見た手順に従って求めることができます。順番に求めていきます。

まずは、余弦定理から $\cos A$ を求めます。
\begin{eqnarray}
\cos A &=& \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} \\[5pt] &=&
\frac{5^2+6^2-4^2}{2\times5\times6} \\[5pt] &=&
\frac{45}{2\times5\times6} \\[5pt] &=&
\frac{3}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

三角比の相互関係から、
\begin{eqnarray}
\sin^2 A
&=&
\sqrt{1-\cos^2 A} \\[5pt] &=&
\sqrt{1-\left(\frac{3}{4}\right)^2} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{4^2-3^2}}{4} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{7}}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

これから、三角形 ABC の面積は
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2}bc\sin A=\frac{1}{2}\times5\times6\times\frac{\sqrt{7}}{4}=\frac{15\sqrt{7}}{4}
\end{eqnarray}となります。

ここまできて、ようやく内接円の半径の話になります。三角形 ABC の面積に注目すると\[ \frac{r(4+5+6)}{2}=\frac{15\sqrt{7}}{4} \]が成り立ちます。このことから
\begin{eqnarray}
r
&=&
\frac{2}{15} \times \frac{15\sqrt{7}}{4} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{7}}{2} \\[5pt] \end{eqnarray}と求められます。これが答えです。

おわりに

ここでは、内接円の半径を求める問題を考えました。内接円の半径は、三角形の面積と一緒に考えることが多いです。三角形の面積は三角比の分野で出題されることが多いため、必然的に内接円の半径について問われることも多くなります。

三角形の面積と3辺の長さがわかれば、内接円の半径はすぐに出せます。もしどれかがわからない場合は、余弦定理を使って辺の長さを求めたり、上の例題のようにして三角形の面積を求める必要があります。