【標準】対称式の値

ここでは、2変数の対称式の値を計算する方法を学んでいきます。

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対称式

「$x^2+y^2$」は、文字を入れ替えても元の式と同じになります。このように、式の中の文字を入れ替えても変わらない多項式のことを対称式(symmetric polynomial)といいます。

2変数の対称式はたくさんありますが、そのうち、$x+y$ と $xy$ は基本対称式(elementary symmetric polynomial)と呼ばれています。ここでは証明しませんが、基本対称式を足したり引いたり掛けたりすれば、どんな対称式でも表せることが知られています。例えば、上にあげた例であれば、
\begin{eqnarray}
x^2+y^2 = (x+y)^2-2xy
\end{eqnarray}という感じです。

対称式の値

さて、対称式の値に関する問題を解いてみましょう。

例題
$\displaystyle x=\frac{1}{\sqrt{5}+\sqrt{3}}$, $\displaystyle y=\frac{1}{\sqrt{5}-\sqrt{3}}$ のとき、次の値を求めなさい。

(1) $x+y$
(2) $xy$
(3) $x^2+y^2$
(4) $x^3+y^3$
(5) $x^4+y^4$
(6) $x^5+y^5$

(1)と(2)は直接計算するしかありませんが、(3)~(6)はそれまでの結果を応用して計算します。

まずは、(1)を計算します。分母が違うので通分して計算します。
\begin{eqnarray}
x+y
&=&
\frac{1}{\sqrt{5}+\sqrt{3}} +\frac{1}{\sqrt{5}-\sqrt{3}} \\[5pt] &=&
\frac{(\sqrt{5}-\sqrt{3})+(\sqrt{5}+\sqrt{3})}{(\sqrt{5}+\sqrt{3})(\sqrt{5}-\sqrt{3})} \\[5pt] &=&
\frac{2\sqrt{5}}{5-3} \\[5pt] &=&
\sqrt{5} \\[5pt] \end{eqnarray}と計算できます。続いて(2)は
\begin{eqnarray}
xy
&=&
\frac{1}{\sqrt{5}+\sqrt{3}} \times \frac{1}{\sqrt{5}-\sqrt{3}} \\[5pt] &=&
\frac{1}{(\sqrt{5}+\sqrt{3})(\sqrt{5}-\sqrt{3})} \\[5pt] &=&
\frac{1}{2} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

さて、(3)ですが、前に述べた「対称式は、基本対称式を組み合わせて表せる」ことを利用して計算します。$x^2+y^2$ の場合は、$x+y$ の2乗と $2xy$ を組み合わせて表すことができるので、(1)(2)の結果を使って、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
x^2+y^2
&=&
(x+y)^2 -2xy \\
&=&
(\sqrt{5})^2-2\times\frac{1}{2} \\
&=&
5-1=4
\end{eqnarray}直接2乗するよりも楽になりますね。

(4)は3乗です。さきほどと同様にすると、「$x+y$ の3乗を使うのかな」と予想できます。3乗の展開の公式は習っていないかもしれませんが、順番に展開していくと次のようになることが分かります。\[ (x+y)^3 = x^3+3x^2y+3xy^2+y^3 \]最初と最後の項だけが必要で、間の2つは邪魔ですね。この部分も、よくよく見てみると\[ 3x^2y+3xy^2 = 3xy(x+y) \]と基本対称式を用いて計算することができます。

ここまでのことを使えば、(4)は次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
x^3+y^3
&=&
(x+y)^3 -3xy(x+y) \\[5pt] &=&
(\sqrt{5})^3 -3\times\frac{1}{2}\times\sqrt{5} \\[5pt] &=&
5\sqrt{5} -\frac{3\sqrt{5}}{2} \\[5pt] &=&
\frac{7\sqrt{5}}{2} \\
\end{eqnarray}この変形は少し難しいですね。

(5)は4乗なので、「$x+y$ の4乗を使えばいい」と思うかもしれませんが、もっと楽に(3)の $x^2+y^2$ を使うことを考えてみましょう。これを2乗したほうが楽になります。
\begin{eqnarray}
x^4+y^4
&=&
(x^2+y^2)^2 -2(xy)^2 \\
&=&
4^2 -2\left(\frac{1}{2}\right)^2 \\
&=&
16 -\frac{1}{2} \\
&=&
\frac{31}{2} \\
\end{eqnarray}となります。

最後の(6)は5乗ですが、さすがに $x+y$ を5乗するのは大変です。今まで使ったものを再利用しようとすると、(3)(4)を組み合わせる方法が思いつきます。これら2つを掛け合わせると
\begin{eqnarray}
(x^2+y^2)(x^3+y^3)
&=&
x^5+x^2y^3+x^3y^2+y^5 \\
&=&
x^5+y^5+x^2y^2(x+y)
\end{eqnarray}となります。後半の式変形は、基本対称式が出てくるようにしているわけですね。これを用いれば、次のように計算することができます。
\begin{eqnarray}
x^5+y^5
&=&
(x^2+y^2)(x^3+y^3) -(xy)^2(x+y) \\[5pt] &=&
4\times \frac{7\sqrt{5}}{2} -\left(\frac{1}{2}\right)^2 \sqrt{5} \\[5pt] &=&
14\sqrt{5} -\frac{\sqrt{5}}{4} \\[5pt] &=&
\frac{55\sqrt{5}}{4} \\
\end{eqnarray}これでも計算は大変ですが、5乗することを考えるとだいぶ楽になっています。

おわりに

対称式の値を計算するときに、基本対称式を使うと楽になる例を見てきました。ここで使ったものをまとめておきましょう。

よく使う対称式の変形
\begin{eqnarray}
x^2+y^2 &=& (x+y)^2-2xy \\
x^3+y^3 &=& (x+y)^3-3xy(x+y) \\
x^4+y^4 &=& (x^2+y^2)^2-2(xy)^2 \\
x^5+y^5 &=& (x^2+y^2)(x^3+y^3)-(xy)^2 (x+y) \\
\end{eqnarray}

$x+y$ や $xy$ の値が簡単に計算できる場合は、これらの式変形を積極的に利用しましょう