🏠 Home / 数学II / 式と証明 / 等式の証明

【標準】恒等式の証明

ここでは、条件の付いた恒等式の証明問題を見ていきます。

📘 目次

条件のついた等式の証明問題

例題
$a+b+c=0$ のとき、次の等式が成り立つことを示しなさい。
\[ a^3+b^3+c^3=3abc \]

【基本】恒等式の証明で見たように、等式の証明は、

  1. 片方を変形して、もう片方と同じ式にする
  2. 両辺をそれぞれ変形して、同じ式にする
  3. 「(左辺)-(右辺)」を計算して、0にする
のどれかの方針を使って考えていきます。ここでは、3つ目を使って考えます。

式変形をする前に、条件式 $a+b+c=0$ があることに注意しましょう。こうした条件式がある場合は、文字を減らすことに使います。この条件式は、次のように変形できます。\[ c=-a-b \]こうすることで、元の式は3つの文字から2つの文字に減らすことができます。文字が減ったほうが考えやすいですね。

それでは、この条件式を使って、与えられた式の左辺から右辺を引いたものを計算していきましょう。0になることを示すことがゴールであることを意識して計算していきます。
\begin{eqnarray} & & a^3+b^3+c^3-3abc \\[5pt] &=& a^3+b^3+(-a-b)^3-3ab(-a-b) \\[5pt] &=& a^3+b^3 -a^3-3a^2b-3ab^2-b^3 +3a^2b+3ab^2 \\[5pt] &=& 0 \end{eqnarray}となります。「(左辺)-(右辺)=0」が示せたので、与えられた等式が成り立つことがわかります。

条件式がある場合は、文字を減らすために使うことが多いです。文字を減らした後は、普通の等式の証明問題と同じように、式変形をして等式が成り立つことを示します。

条件式と因数分解と等式の証明

先ほどの例題は、上で書いた通りに解くことができます。しかし、因数分解によって条件式を直接使う方法もあります。以下で書く解法は、思いつかなくても問題ありません。

上の例題に出てきた等式の左辺から右辺を引いた式は\[ a^3+b^3+c^3-3abc \]です。非常に思いつきにくいですが、この式は因数分解をすることができます。どうやって因数分解をするかは、別のページ(【応用】3つの3乗の和に関する因数分解)で説明していますが、結果だけ書くと次のようになります。
\begin{eqnarray} & & a^3+b^3+c^3-3abc \\[5pt] &=& (a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca) \\[5pt] \end{eqnarray}この因数分解ができれば、条件式 $a+b+c=0$ を使うことで、最後の式が $0$ になることはあきらかです。よって、与えられた等式の左辺と右辺が等しくなることがわかります。

この方法は、因数分解をすることで、条件式を直接使い、等式が成り立つことを示しています。ただ、この因数分解はなかなか思いつきません。この方法は、数学が得意な人ならできたほうがいいですが、それほど得意でない人なら、1つ目の解き方、つまり、条件式を使って文字を減らしてから式変形をするやり方を覚えておきましょう。1つ目の解き方は、他の問題でも使うことができますが、因数分解をする方法は、いつも使える方法というわけではありません。

おわりに

ここでは、条件式がついた、恒等式の証明問題を見ました。基本的には、条件式を使って文字を減らした後で、式変形によって等式が成り立つことを示す方針で解いたほうがいいでしょう。

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
慶應義塾大学薬学部2024年度数学第1問5 同志社大学文系2024年度数学第1問3 昭和大学医学部I期2024年度数学第2問 兵庫医科大学2024年度数学第3問 共通テスト2B2024年度第3問2のヒントについて 久留米大学医学部推薦2024年度数学第4問