【標準】軌跡(2直線の交点の軌跡)

ここでは、2つの直線が動く時に、交点の軌跡がどうなるかを考えていきます。

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2直線の交点

例題
m が実数全体を動くとき、2直線 $mx-y=0$, $x+my-2m-2=0$ の交点の軌跡を求めなさい。
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図は、次のようになります。1つ目の直線が青、2つ目が赤です。

まずは交点を求めてみましょう。1つ目の式を m 倍して、2つ目の式に辺々足すと
\begin{eqnarray}
(m^2+1)x-2m-2 &=& 0 \\[5pt] x &=& \frac{2(m+1)}{m^2+1} \\[5pt] \end{eqnarray}となり、これを1つ目の式に代入すれば
\begin{eqnarray}
y=\frac{2m(m+1)}{m^2+1}
\end{eqnarray}となります。

さて、この式を見て、 m が動いたときに、 $(x,y)$ がどんな動きをするか、ですが、わかりにくいですね。これを見て、ぱっと $x,y$ 間の関係が分かる人はほとんどいないでしょう。僕もわかりません。

これはなぜわかりづらいかというと、 m を動かしたときに、 x, y が両方動いてしまうからなんですね。 m を使って表そうとしていたことが、そもそもわかりにくさを生んでいたのです。

2直線の交点の軌跡

では、どのようにして、2直線 $mx-y=0$, $x+my-2m-2=0$ の交点を求めるか。これは、【基本】軌跡(連動して動く点)で見たように、「邪魔な文字を消す」方針で考えていくとうまく行きます。今の場合、 m が邪魔なので、これを消す方針で考えていきましょう。

1つ目の式から\[ m=\frac{y}{x} \]が成り立つので、これを2つ目の式に入れれば、 m が消えます。そして、うまい具合に、 x, y の関係式が出てきます。ただ、1つ注意が必要なのは、このような式変形ができるのは、 $x\ne 0$ のときだけ、ということです。 $x=0$ の場合は、分けて考えなくてはいけません。これを念頭に置いて考えていきましょう。

$x\ne 0$ の場合、\[ m=\frac{y}{x} \]が成り立ちます。これを2つ目の直線の方程式に入れて
\begin{eqnarray}
x+\frac{y}{x}\cdot y-2\cdot\frac{y}{x}-2 &=& 0 \\[5pt] x^2+y^2-2y-2x &=& 0 \\[5pt] (x-1)^2+(y-1)^2 &=& 2 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、この場合は、 $x=0$ となる点を除いたこの円が軌跡となります。 $x=0$ を代入して計算すると、この場合に除かれる点は $(0,0)$ と $(0,2)$ です。

続いて、 $x=0$ のときを考えましょう。このとき、1つ目の直線の方程式から、 $y=0$ が得られ、2つ目の式にこれらを代入すると、 $-2m-2=0$ 、つまり、 $m=-1$ が得られます。つまり、原点は $m=-1$ のときの交点であることがわかります。そのため、この点も軌跡に含まれます。しかも、この点は先ほど求めた円上の点ですね。

以上から、求める軌跡は、「円 $(x-1)^2+(y-1)^2 = 2$ 、ただし、 $(0,2)$ は除く」となります。

除かないといけない点について

除かないといけない点について、少し考えてみましょう。 $mx-y=0$ は、原点を通る、いろんな直線を表しますが、 y 軸は表しません。また、2つ目の直線は
\begin{eqnarray}
x+my-2m-2 &=& 0 \\[5pt] x-2+m(y-2) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}と書けるから、 $(2,2)$ を通るいろんな直線を表します。しかし、 $y=2$ の直線だけは表しません。除かれる点 $(0,2)$ は、 y 軸上、かつ、直線 $y=2$ 上の点なので、両方の直線の方程式が表さない直線同士の交点だったというわけなんですね。この点を通ることはないので、除かないといけない、ということです。

なお、上の式変形から、 $m\ne0$ のときは、2つ目の直線の傾きは $-\dfrac{1}{m}$ であることがわかります。一方、1つ目の直線の傾きは $m$ です。なので、2つの直線は、必ず垂直に交わることがわかります。また、通る定点も求めたので、この例題を次のように考えることもできます。

1つ目の直線が通る定点 $(0,0)$ 、2直線の交点、2つ目の直線が通る定点 $(2,2)$ をつなぐと、必ず直角になるので、交点の軌跡は、2定点を結んだ線分を直径とする円になることがわかります。表せない直線同士の交点を除けば、上の計算と一致しますね。

ただ、この問題を図形的に解くことはなかなか難しいでしょう。計算で解けるようにしておくのが大事で、こうした図形的な見方は、問題を解き終わった後に「なるほど、こういう見方もできるのか」と理解しておく程度でいいでしょう。

おわりに

ここでは、2直線の交点の軌跡について考えました。邪魔な文字を消す、という発想で解いていきましょう。