【標準】相加・相乗平均の関係を使うときの注意点

相加・相乗平均の関係を一度に2か所以上で使う場合、注意しないといけない点があります。ここでは、その注意点について見ていきます。

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相加・相乗平均の関係を2か所以上で使う場合

例えば、 $a\gt 0$ のとき、 $a+\dfrac{4}{a}$ の最小値はいくつでしょうか。これは、相加・相乗平均の関係を用いて、次のように計算できます。\[ a+\dfrac{4}{a} \geqq 2 \sqrt{a\cdot\dfrac{4}{a}}=4 \]等号が成り立つのは $a=\dfrac{4}{a}$ のとき、つまり、 $a=2$ のときであり、最小値は $4$ だとわかりますね。

このように、相加・相乗平均の関係を使って最小値を求めることもできます

次に、 $a, b\gt 0$ のときに、次の最小値を考えてみましょう。\[ \left(a+\frac{4}{b}\right)\left(b+\frac{1}{a}\right) \]これは、1つ目のカッコと2つ目のカッコに対して、相加・相乗平均を使えばよさそうですよね。1つ目から\[ a+\dfrac{4}{b} \geqq 2 \sqrt{a\cdot\dfrac{4}{b}}=4\sqrt{\frac{a}{b}} \]が得られ、2つ目から\[ b+\dfrac{1}{a} \geqq 2 \sqrt{b\cdot\dfrac{1}{a}}=2\sqrt{\frac{b}{a}} \]が得られます。両辺を掛ければ、ルートの部分がきれいに消えて、\[ \left(a+\frac{4}{b}\right)\left(b+\frac{1}{a}\right) \geqq 8 \]となるような気がします

しかし、これは間違っています。さて、どうして間違いだと言えるのでしょうか。

相加・相乗平均の関係を2か所以上で使った場合の等号成立条件

間違いであることは、等号成立条件について考えてみるとわかります。1つ目のカッコについて、\[ a+\dfrac{4}{b} \geqq 4\sqrt{\frac{a}{b}} \]の等号が成り立つのは、 $a=\dfrac{4}{b}$ のとき、つまり $ab=4$ のときです。2つ目のカッコについて、\[ b+\dfrac{1}{a} \geqq 2\sqrt{\frac{b}{a}} \]の等号が成り立つのは、 $b=\dfrac{1}{a}$ のとき、つまり $ab=1$ のときです。ということは、これらを掛け合わせた\[ \left(a+\frac{4}{b}\right)\left(b+\frac{1}{a}\right) \geqq 8 \]の等号が成り立つのは、 $ab=4$ かつ $ab=1$ のとき、となりますが、こんなことは起こりません。つまり、この不等式は等号が成り立つことはないんですね。

最小値を聞かれて、実現しない値を言っても意味がありません。確かに8以上にはなりますが、8になることはないので、最小値が8であるとはいえません。相加・相乗平均の関係を2か所以上で使った場合には、すべての不等式の等号が成立しなければいけませんが、本当にそういうことがあるのかは、きちんと考えないといけません。

では、上の問題はどう解けばいいかというと、展開してから解けばいいんですね。展開すると
\begin{eqnarray}
& &
\left(a+\frac{4}{b}\right)\left(b+\frac{1}{a}\right) \\[5pt] &=&
ab +1 +4 +\frac{4}{ab} \\[5pt] &=&
ab +\frac{4}{ab} +5 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここで、 $ab$ も $\dfrac{1}{ab}$ も正なので、相加・相乗平均の関係から、
\begin{eqnarray}
& &
ab +\frac{4}{ab} +5 \\[5pt] &\geqq&
2\sqrt{ab \cdot \frac{4}{ab}} +5 \\[5pt] &=&
9 \\[5pt] \end{eqnarray}が成り立ちます。このとき、等号が成り立つのは、 $ab=\dfrac{4}{ab}$ のとき、つまり、 $ab=2$ のときであることがわかります。

相加・相乗平均の関係を複数箇所使う場合は、すべての等号が成り立つことがあるのか、注意して考えなくてはいけません。また、一度に複数個所で使うとうまくいかないことが多いので、できる限り1回だけ使うようにしましょう。

おわりに

ここでは、相加・相乗平均の関係を一度に2か所以上で使う場合について考えました。等号成立条件の問題があるので、できる限り2か所以上では使わないようにし、もし使う場合は等号成立条件についてよく考えるようにしましょう。