【標準】複数の文字の入った恒等式

ここでは、複数の文字が入っている等式が、恒等式になる条件を求める問題を考えます。

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複数の文字の入った恒等式

例題
次の式\[ 2x^2+3xy-x-2y^2-7y+a = (x+2y+b)(2x-y+c) \]が、 x, y についての恒等式となるとき、定数 a, b, c の値を求めなさい。

x, y についての恒等式」というのは、 x, y にどんな値を入れても成り立つ、ということです。

恒等式内の定数を求める問題は、係数比較と数値代入の2つの解き方があります。ただ、今の場合、数値代入は少し難しいですね。どんな値を入れればいいかわかりづらいです。 $x=y=0$ とすれば $a=bc$ が得られますが、それ以外にわかりやすい式を思いつくのは難しいです。

そこで、係数比較のやり方を応用しましょう。そのため、まずは右辺を展開しましょう。
\begin{eqnarray}
& &
(x+2y+b)(2x-y+c) \\[5pt] &=&
2x^2 -xy +cx \\
& & +4xy -2y^2 +2cy \\
& & +2bx -by +bc \\[5pt] &=&
2x^2 +3xy +(2b+c)x -2y^2 +(-b+2c)y +bc \\
\end{eqnarray}となります。

ここで、単純に係数比較をすれば、 $x$ の項から\[ 2b+c=-1 \]が得られ、 $y$ の項から\[ -b+2c=-7 \]が得られます。この連立方程式を解けば、 $b=1$, $c=-3$ が得られます。また、定数項から $a=bc$ なので、 $a=-3$ が得られます。

文字が複数ある場合でも、このように係数比較によって答えを求めることができます。

ただ、なぜ係数比較で答えを求めることができるのでしょうか。これ以外に答えはないのでしょうか。

なぜ係数比較でいいのか

先ほどの問題では、文字が複数ある場合に、係数比較して答えを導きました。ここでは、この解き方で正しいのかどうかを考えていきます。ただ、難しければ飛ばしてもOKです。「文字が複数ある整式の場合でも、係数比較で求められる」ということがわかっていれば、それで十分です。

さて、もともと、文字が1つの場合に係数比較をして答えが導けるのは、以下が成り立つからでした。
「 $ax^2+bx+c=0$ が $x$ についての恒等式なら、 $a=b=c=0$ となる」
これは、【基本】恒等式と係数比較でも見た通り、 $x=-1,0,1$ を代入して直接計算して示すことができます。これから、「 $a=b=c=0$ 以外にはない」ということがわかるんですね。

これを、文字が複数ある場合に応用することができます。例えば、次の式を考えてみましょう。\[ ax^2+bxy+cy^2 +dx+ey+f=0 \]これが、 x, y についての恒等式になっていたとします。

すると、次のように変形した式\[ ax^2 +(by+d)x +(cy^2+ey+f)=0 \]は x の恒等式になっています。そのため、係数はすべて0、つまり、 $a=0$, $by+d=0$, $cy^2+ey+f=0$ が成り立ちます。これらはどんな y に対しても成り立つので、係数はすべての0、つまり、 $b=d=0$, $c=e=f=0$ が得られます。

結局、すべての係数が $0$ になることがわかりました。\[ ax^2+bxy+cy^2 +dx+ey+f=0 \]が、 x, y についての恒等式になっていたなら、すべての係数は $0$ になります。よって、2つの文字があった2次以下の恒等式の場合でも、係数比較法を使うことができます。右辺が $0$ でない場合でも、「(左辺)-(右辺)=0」という式から、すべての係数が $0$ ということが導けるため、両辺の係数は同じでないといけません。

一般的な場合での証明は難しいですが、一般的に次が成り立つことが知られていて、試験でも使うことができます。

複数の文字の入った恒等式
複数の文字についてのある整式が恒等的に0なら、その整式の係数はすべて0である。
また、複数の文字についての2つの整式が恒等的に等しいなら、その2つの整式の同類項の係数は、それぞれ等しい。

つまり、文字が複数入っている整式を用いた恒等式の場合でも、普通に係数比較が行える、ということです。上の例題での解き方は、正しい解き方です。上で求めた以外に、解はありません。

おわりに

ここでは、複数の文字が入った恒等式の問題を考えました。複数の文字が入った整式の場合でも、文字が1つのときと同じように、係数比較を行うことができる、ということをおさえておきましょう。