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【標準】円順列と確率

ここでは、円順列を使った確率を考えていきます。【標準】順列と確率【標準】組合せと確率を見ておくと、よりわかりやすくなります。

📘 目次

円順列を使った確率

例題
A, B, C, D, E の5人全員が円卓の席に着く。席はランダムに決まるとすると、A と B が隣り合う確率はいくらになりますか。

円卓に座るというのは、【標準】円形に並べる(円順列)で見た「円順列」の問題です。回転して同じ座り方になるものを除く必要があります。

まずは、円卓の座り方が全部で何通りあるかを考えます。数え方はいろいろありますが、一人を固定して考えてみましょう。

とりあえず、A に注目しましょう。A を基準に、他の4人がどう座るかを考えます。こうすると、A から見て時計回りに1番目・2番目・3番目・4番目というように、他の4つの席がすべて区別できるようになります。よって、単純に、この4人を1列に並べる方法を数えればいいことになります。

このことから、円卓の座り方の総数は、\[ 4!=24 \]通りとなります。席はランダムに決められるので、これらの座り方は、同様に確からしいと考えられます。

次に、A と B が隣り合う場合の数を考えます。A を基準に考えると、B と隣り合う座り方は2通りあります。他の3人はあいている3か所に自由に座ればいいので、座り方は\[ 2\times 3!=12 \]通りとなります。

以上から、求める確率は\[ \frac{2\times 3!}{4!}=\frac{1}{2} \]となります。

なお、(これは少し難易度が高いですが)5人ではなく n 人だったとする(n は3以上の整数)と、特定の2人が隣り合う確率は、同じように考えて\[ \frac{2\times (n-2)!}{(n-1)!} =\frac{2}{n-1} \]と求めることができます。

確率における順列と円順列

さて、上の例題についてですが、もしはじめから円卓に1番から5番までの数字が時計回りにふってあったとしましょう。このとき、同じように座る場所がランダムで決まるとして、A と B が隣り合う確率はどうなるでしょうか。

答えをいきなり書くと、円卓に番号をつけるかつけないかで確率が変わるはずはありません。番号をつけるかどうかは、席のきまり方には影響しないので、確率も変わりません。

そもそも、円順列は順列と何が違っていたかというと、「並び方が区別できるかどうか」という点だったんですね。例えば、円卓で、時計回りに
 A, B, C, D, E
と座るのと
 B, C, D, E, A
と座るのは、同じ座り方です。なので、場合の数のときには、同じ座り方になるものを「区別しないで」数える必要がありました。

しかし、確率の場合は、結果を「区別して」数えても同じ確率になります。円卓に番号をふって、席を区別できるようにしても、確率は変わりません。このように、結果を区別しても確率が変わらない例は、【標準】組合せと確率#確率における順列と組合せでも出てきましたね。

実際に、確率を求めてみましょう。円卓に数字がふってあったとしましょう。すると、5人の座り方は、1番に座る人が5通り、2番に座る人が4通り、…、5番目に座る人が1通りとなります。また、これらの座り方はすべて異なるので、ダブりがありません。そのため、 $5!$ 通りとなります。

一方、A と B が隣り合う場合を考えましょう。A の座り方は5通りあります。B は、A の隣りなので、2通りです。残りの3人はあいている席に座るので、場合の数は、 $5\times 2\times 3!$ 通りとなります。

以上から、確率は、\[ \frac{5\times 2 \times 3!}{5!}=\frac{1}{2} \]となり、上の解答と同じになります。

区別するのか区別しないのか、はじめのうちは混乱するかもしれませんが、いろんな問題をいろんな解き方で考えてみて、マスターしていくようにしましょう。

隣りに座るかだけ考える

先ほどの例題は、もっとシンプルに考えることもできます。

A が座り、その後に B が座れば、二人が隣り合うかどうかは結論が出ます。つまり、他の3人は座っても座らなくても関係ないんですね。

A が座り、B が座ったときに、二人が隣り合うのは、B が A の隣りになるときですね。B が座ろうとするときには席が4つあり、A の隣りの席は2つあります。どこに座るかはランダムなので、4つの中からあたり2つを選ぶ確率と考えれば $\dfrac{2}{4}=\dfrac{1}{2}$ であることはすぐにわかります。

「隣り」の条件が同じなので、きれいに求められますが、一列に並ぶ場合は、こうはいきません。A が両端にいる場合は「隣り」は1か所で、両端にいない場合は「隣り」は2か所になり、「隣り」の条件が異なりますからね。

また、 n 人の場合も同じように考えられます。特定の二人が隣り合うかどうかは、一人目が座った後の二人目の席に着目すればいいです。 $(n-1)$ 個の席から、隣りの2個の席を選ぶ確率だから $\dfrac{2}{n-1}$ とわかります。

確率の問題では、考え方によって計算の仕方が大きく変わることがあり、はじめの解き方とここでの解き方のように、計算量が変わってくる場合も多いです。

おわりに

ここでは、円順列を使った確率の問題を見てきました。円順列の考え方で求めることもできるし、結果を区別できるようにしてから求めることもできました。いろんな考え方・数え方ができるようになっていきましょう。

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