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【標準】座標を使って三角形の外心を考える

ここでは、座標を使って図形の問題を解く例として、三角形の外心について見ていきます。

📘 目次

三角形の外心

三角形の各辺の垂直二等分線を引きます。垂直二等分線は全部で3本引けますが、この3本は必ず1点で交わります。

この点を外心(circumcenter) といいます。この点は、各頂点からの距離が同じなので、この点を中心としてすべての頂点を通る円をかくことができます。この円のことを、この三角形の外接円(circumcircle) といいます。

ただ、3本の垂直二等分線が1点で交わることは、明らかではありません(参考:【基本】三角形の外心)。以下では、座標を使ってこのことを考えてみましょう。

なぜ3本の垂直二等分線は1点で交わるのか

【標準】座標を使って三角形の垂心を考えるでも見たように、座標を使って、3本の垂直二等分線について考えていきましょう。

座標を使って一般的な図形について考えていく場合は、座標のとり方を工夫しなければ計算が大変になります。状況を変えないように注意しながら考えていきましょう。

まず、 y 軸に平行な辺があると式の場合分けが面倒なので、 $\angle \mathrm{ A }$ が最大角である、としましょう。一番大きい角に A と名前を付けるだけなので問題ないですね。こうすると、他の2つの角は鋭角になり、辺が y 軸と平行になることはありません。

次に、座標が $0$ になっている点が多いと計算が楽なので、 BCx 軸上にあるとしましょう。回転したり平行移動すればいいですね。

さらに、左右に平行移動すれば、BC の垂直二等分線が y 軸となるようにすることができます。

そして、最後にもう一工夫入れましょう。垂直二等分線を考えるということは、中点が途中で出てくるということなので、あらかじめ変数を2倍しておきましょう。分数が出てこなくなるので、地味に助かります。

以上から、 $\mathrm{ A }(2a,2b)$, $\mathrm{ B }(2c,0)$, $\mathrm{ C }(-2c,0)$ とおいても、一般性を失わないことがわかります。なお、 $b,c\ne 0$ です。

ちなみに、このときに、 $\mathrm{ A }(0,2b)$ とおいてしまってはいけません。こうすると、三角形 ABC は二等辺三角形になってしまい、特別な三角形しか考えないことになってしまいます。二等辺三角形に限らない、一般的な三角形を考えないといけないので、こうやっておいてしまってはいけません。

さて、座標を決めれば、後は計算するだけです。 AB, AC の垂直二等分線を考え、その交点が BC の垂直二等分線、つまり、 y 軸上にあるかどうかを見ればいいですね。

AB の中点は $(a+c,b)$ となります。座標のとり方をうまくしていたことが、ここで効いてきます。 ABy 軸と平行ではないので傾きが計算できて、その値は\[ \frac{0-2b}{2c-2a}=\frac{b}{a-c} \]となります。よって、垂直二等分線の傾きは\[ -\frac{a-c}{b} \]となり、これが中点を通るから、垂直二等分線の方程式は
\begin{eqnarray} y -b &=& -\frac{a-c}{b} \{ x-(a+c) \} \\[5pt] y &=& -\frac{a-c}{b}x +\frac{(a-c)(a+c)}{b}+b \\[5pt] &=& -\frac{a-c}{b}x +\frac{a^2+b^2-c^2}{b} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

また、辺 AC 垂直二等分線は、先ほどの式で $c$ を $-c$ に置き換えたものなので、
\begin{eqnarray} y -b &=& -\frac{a+c}{b} \{ x-(a-c) \} \\[5pt] y &=& -\frac{a+c}{b}x +\frac{(a+c)(a-c)}{b}+b \\[5pt] &=& -\frac{a+c}{b}x +\frac{a^2+b^2-c^2}{b} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

以上から、この2つの直線の切片が等しいので、この2直線の交点は\[ \left(0,\frac{a^2+b^2-c^2}{b}\right) \]となります。これは、 BC の垂直二等分線、つまり、 y 軸上にある点なので、3つの垂直二等分線は1点で交わることがわかります。

おわりに

ここでは、座標を使って、三角形の外心が存在することを見ました。一般性を失わないように注意しながら、座標をうまくとり、計算がらくになるように工夫して計算しましょう。今回の例であれば、「中点が出てきそうなときには、2倍しておく」という技などが、他の場所でも使えそうですね。

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