🏠 Home / 数学B / 数列 / Σの計算

【標準】等差×等比の和

ここでは、等差×等比の和を求める問題を見ていきます。計算量が多いため、数列に関する問題ではよく出題されます。

📘 目次

等比数列の和の復習

等差×等比の和を見る前に、等比数列の和について復習しておきましょう。

初項が a で公比が $r(\ne 1)$ の等比数列があったとします。この等比数列の初項から第 n 項までの和をどのように出したかを思い出してみましょう。(参考:【基本】等比数列の和
\begin{eqnarray} S=a+ar+ar^2+\cdots+ar^{n-2}+ar^{n-1} \end{eqnarray}この和 $S$ を出すには、全体に公比を掛けて引けばいいのでしたね。そうすると、たくさんの項が打ち消し合います。 \begin{eqnarray} rS &=& & ar+ar^2+\cdots+ar^{n-2}+ar^{n-1} & +ar^n \\[5pt] S &=& a+ & ar+ar^2+\cdots+ar^{n-2}+ar^{n-1} & \\[5pt] \end{eqnarray}こうして引き算をすると、 $ar$ の部分から $ar^{n-1}$ の部分がすべて消えて \begin{eqnarray} (r-1)S &=& ar^n-a \\[5pt] S &=& \frac{a(r^n-1)}{r-1} \\[5pt] \end{eqnarray}と求められるのでしたね。

これを踏まえて、次の例題を考えてみましょう。

等差×等比の和

例題
次の和を求めなさい。\[ \sum_{k=1}^n k\cdot 2^{k-1} \]

具体的に書くと、このような和です。和を $S$ とおいています。
\begin{eqnarray} S &=& 1\cdot 2^0 +2\cdot 2^1 +3\cdot 2^2 +\cdots +(n-1)\cdot 2^{n-2} +n\cdot 2^{n-1} \end{eqnarray}$1,2,3,\cdots,n$ という等差数列と、 $2^0,2^1,2^2,\cdots,2^{n-1}$ という等比数列の各項をそれぞれ掛けたあとに、すべてを足したもの、それが $S$ です。各項を掛けているため、等差数列の和の公式も、等比数列の和の公式も、直接使うことはできません

しかし、等比数列の和の求め方を応用することができます。邪魔なものをうまく消して、計算しやすくするにはどうすればいいでしょうか。

さきほどの等比数列の和のときと同じように、公比を掛けて引いてみましょう。等比数列の部分の公比は $2$ なので、 $2S-S$ を計算する方針で考えてみます。
\begin{eqnarray} 2S &=& & 1\cdot 2^1 +2\cdot 2^2 +3\cdot 2^3 +\cdots +(n-1)\cdot 2^{n-1} &+n\cdot 2^n \\[5pt] S &=& 1\cdot 2^0 +&2\cdot 2^1 +3\cdot 2^2 +\cdots +(n-1)\cdot 2^{n-2} +n\cdot 2^{n-1} & \end{eqnarray}今回は、間の部分が丸々消えるというわけではありません。しかし、 $2^k$ が共通する部分を見てみましょう。

 $2^1$ の係数は、上が $1$ で下が $2$
 $2^2$ の係数は、上が $2$ で下が $3$
 $2^3$ の係数は、上が $3$ で下が $4$

となっており、最後は

 $2^{n-1}$ の係数は、上が $n-1$ で下が $n$

となることがわかります。そのため、上から下を引くと、 $-2^1$ から $-2^{n-1}$ までが1つずつ出てくることがわかります。この部分は等比数列の和です。こうなると計算ができます。この部分は、等比数列の和の公式を使って、次のように求められます。
\begin{eqnarray} & & -2^1-2^2--2^3-\cdots-2^{n-1} \\[5pt] &=& \frac{-2^1(2^{n-1}-1)}{2-1} \\[5pt] &=& -2^n+2 \\[5pt] \end{eqnarray}初項が $-2^1$ で、項数が $n-1$ であることを用いています( $n=1$ のときは $0$ となる)。

また、他に残る部分は、1行目の最後 $n\cdot 2^n$ と2行目の最初 $1\cdot 2^0$ ですね。これらを合わせれば
\begin{eqnarray} S &=& n\cdot 2^n -2^n+2-1\cdot 2^0 \\[5pt] &=& (n-1)2^n+1 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。これが答えです。

実際、 $n=2$ とすると、この和は $5$ となり、合いますね。

おわりに

ここでは、等差×等比の和の求め方について見てきました。計算量は多いですが、和を求める方針は等比数列の和のときと同じです。練習してできるようになりましょう。

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
慶應義塾大学薬学部2024年度数学第1問5 同志社大学文系2024年度数学第1問3 昭和大学医学部I期2024年度数学第2問 兵庫医科大学2024年度数学第3問 共通テスト2B2024年度第3問2のヒントについて 久留米大学医学部推薦2024年度数学第4問