【標準】同一直線上にある3点とベクトル

ここでは、「3点が同一直線上にあること」の証明に、ベクトルを使う方法を見ていきます。

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同一直線上にある3点

「2点が一致すること」を示すときに、位置ベクトルが等しくなることを示す、という方法を【標準】点の一致と位置ベクトルで見ました。このように、図形の問題をベクトルで示すことができる場合があります。

図形の問題で出題されるものとして、「3点が同一直線上にあることを示しなさい」というパターンもあります。これについて、ベクトルが使えないかを考えていきましょう。ベクトルを使えば、計算中心で考えられるようになります。

例として、三角形の重心で考えてみましょう。以下のような三角形 ABC の図で、頂点 A, 辺 BC の中点 P, 重心 G が同一直線上にあることがどう表現されるか考えてみましょう。

各頂点の位置ベクトルを、 $\mathrm{ A }(\vec{a})$, $\mathrm{ B }(\vec{b})$, $\mathrm{ C }(\vec{c})$ とします。こうすると、 P の位置ベクトルは $\dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{2}$ となり、G の位置ベクトルは、 $\dfrac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$ となります。【標準】点の一致と位置ベクトルでも使った内容ですね。

さて、3点が一直線上にあるとすると、AG を延長した先に P がある、と考えられますね。A を基準としたベクトルを考えると
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{ \mathrm{ AG } }
&=&
\frac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}-\vec{a} \\[5pt] &=&
\frac{-2\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3} \\[5pt] \overrightarrow{ \mathrm{ AP } }
&=&
\frac{\vec{b}+\vec{c}}{2}-\vec{a} \\[5pt] &=&
\frac{-2\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{2} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よく見ると、分子が同じですね。このことから、次のような関係式が成り立つことがわかります。\[ \overrightarrow{ \mathrm{ AP } }=\frac{3}{2}\overrightarrow{ \mathrm{ AG } } \]

【基本】ベクトルの平行で見た通り、ベクトルの定数倍とベクトルの平行が対応しています。さらに上で見た式では、始点が同じなので、同じ直線上にあることが言えます。

同一直線上にある3点(ベクトルバージョン)
異なる3点 A, B, C について、この3点が同一直線上にあることは、 $\overrightarrow{ \mathrm{ AC } }=k\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }$ を満たす実数 k が存在することと同値である。

「3点が同じ直線上にあること」を示すために、ベクトルの言葉で上のように言い換えて考えると、役に立つ場面があります。

例題

例題
平行四辺形 ABCD で、 CD を $3:2$ に内分する点を E とし、 BD を $5:2$ に内分する点を F とする。
このとき、 A, E, F が同一直線上にあることを示しなさい。
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図は次のようになります。

先ほど見た内容を使えば、 $\overrightarrow{ \mathrm{ AF } }=k\overrightarrow{ \mathrm{ AE } }$ を満たす実数 k があることを示せばいいわけです。

示したい式を見ると、 A を始点にしたほうがよさそうです。 $\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }=\vec{b}$, $\overrightarrow{ \mathrm{ AD } }=\vec{d}$ とします。

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{ \mathrm{ AE } }
&=&
\overrightarrow{ \mathrm{ AD } }+\overrightarrow{ \mathrm{ DE } } \\[5pt] &=&
\vec{d}+\frac{2}{5}\vec{b} \\[5pt] &=&
\frac{2\vec{b}+5\vec{d}}{5} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

また、【基本】内分点と外分点の位置ベクトルの内容を使う(基準が A の場合も成り立つ)と
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{ \mathrm{ AF } }
&=&
\frac{2\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }+5\overrightarrow{ \mathrm{ AD } }}{5+2} \\[5pt] &=&
\frac{2\vec{b}+5\vec{d}}{7}
\end{eqnarray}となります。

よって、2つの式から\[ \overrightarrow{ \mathrm{ AF } }=\frac{5}{7}\overrightarrow{ \mathrm{ AE } } \]となるので、 A, E, F が同一直線上にあることが言えます。

ベクトルを使えば、計算で解いていくことができます。もし、図形的に解くなら、次のように考えます。流れだけ書いていきます。

直線 AFCD との交点を Gとし、 直線 BC との交点を H とします。そして、 GE と一致することを言います。

三角形 HFB と 三角形 AFD は相似になります。よって\[ \mathrm{ HB }:\mathrm{ AD }=\mathrm{ BF }:\mathrm{ DF }=5:2 \]となります。また、三角形 HCG と三角形 ADG も相似となります。これより
\begin{eqnarray}
\mathrm{ CG }:\mathrm{ DG }
&=&
\mathrm{ HC }:\mathrm{ AD } \\[5pt] &=&
(\mathrm{ BH }-\mathrm{ BC }):\mathrm{ AD } \\[5pt] &=&
(5-2):2 \\[5pt] &=&
3:2
\end{eqnarray}となります。よって、 GCD を $3:2$ に内分する点となるため、 E と一致します。このため、3点が同一直線上にあることが示せました。

「同一直線上にある」ことを直接示すのではなく、AF を伸ばした先に、 E と同じ条件を満たす点がある、という示し方です。平行四辺形の外側に補助線をひく必要があり、図形的なセンスのいる解き方です。

一方、ベクトルでの解き方は計算中心で進められるため、意味さえ理解できれば使いやすいのではないか、と思います。

おわりに

ここでは、3点が同一直線上にあることを、ベクトルを使って示す方法を見ました。片方のベクトルがもう片方の定数倍になることを示せばいい、ということを理解しておきましょう。