【発展】和の公式(3乗の和)と正方形

ここでは、正方形を使って、3乗の和の公式を図形的な観点から理解していきます。

【広告】

3乗の和と正方形(実験編)

【発展】和の公式(1からnまでの和)と四角形では、自然数の和や奇数の和を、正方形や長方形(の面積)を使って理解していきました。ここでは、3乗の和について、似たようなことをしていきます。

まず、3乗の和がどういうものだったかを振り返っておきましょう。\[ 1^3+2^3+3^3+\cdots+n^3=\left\{\frac{1}{2}n(n+1)\right\}^2 \]こういう式でした(参考:【基本】和の公式(3乗の和))。この両辺を図形的に考えれば、左辺は立方体の体積の和、右辺は一辺が $\dfrac{1}{2}n(n+1)$ の正方形の面積、と考えることができます。しかも、\[ 1+2+3+\cdots+n=\frac{1}{2}n(n+1) \]という関係式があるので、この正方形の一辺は $1$ から $n$ までの和に等しくなります(参考:【基本】和の公式(1からnまでの和))。

実際に、立方体の体積と正方形の面積を、このように対応付けられるのか、見てみましょう。

$n=1$ のときは、まぁいいとして、 $n=2$ のときを考えてみましょう。 $2^3$ というのは、 $2^2$ が2個ある、ということです。立方体を、高さが1の直方体でスライスすれば、次のように並べることができます。高さが $1$ の立体を並べ、上空から見ている、と考えましょう。

左上に $1\times 1$ の正方形、右下に $2\times2$ の正方形、左下と右下に $2\times2$ の正方形を2分割したものが並んでいます。全体を見れば、一辺が $1+2$ の正方形なので、\[ 1^3+2^3=(1+2)^2 \]となることがわかります。

$n=3$ のときはどうなるでしょう。これも、立方体をスライスして、 $3\times 3$ の正方形を3個並べてみます。

こうすると、下側や右側に、 $3\times 3$ の正方形が $3$ 個並びます。そして全体を見ると、一辺が $1+2+3$ の正方形になっていることがわかります。つまり、\[ 1^3+2^3+3^3=(1+2+3)^2 \]となることがわかります。

$n=4$ のときはこうなります。

左下と右上に、 $4\times 4$ の正方形が1個半、右下に1個、合計で4個並びます。全体は、一辺が $1+2+3+4$ の正方形なので、\[ 1^3+2^3+3^3+4^3=(1+2+3+4)^2 \]となることがわかります。

ここまでの流れから考えると、一辺が $1,2,3,\cdots, n$ の立方体を高さが1の直方体にスライスしてうまく並べて上から見ると、一辺が $1+2+3+\cdots +n$ の正方形が作れるような感じがします。しかし、ひょっとしたら、今までがうまくいっただけなのかもしれません。

一般的な場合でも成り立つかどうか、もう少し抽象的な場合で考えてみましょう。

【広告】

3乗の和と正方形(確認編)

一辺が $1,2,3,\cdots,n$ の立方体をスライスしてうまく並べると、正方形が作れるかどうか、を考えます。そのために、一辺が $n+1$ の立方体が追加されたときにどうなるかを見ていくことにしましょう。

一辺が $n+1$ の立方体を、高さが1の直方体にスライスすると、上から見たときに一辺が $n+1$ の正方形が $n+1$ 個できます。この正方形のうち、1つを別にして、残り $n$ 個を横に並べていきましょう。そうすると、縦が $n+1$ で、横が $n(n+1)$ の長方形ができます。(下の図は、 $n=4$ のときです)

この長方形を真ん中でバキッと割ってみましょう。長さ $n(n+1)$ の辺の中央で割ります。

すると、同じ大きさの長方形が2つできます。この辺の長さは、 $\dfrac{1}{2}n(n+1)$ と $n+1$ です。この $\dfrac{1}{2}n(n+1)$ は、 $1+2+3+\cdots+n$ と一致することに注目しましょう。このことから、一辺が $1+2+3+\cdots+n$ の正方形とうまくくっつけることができます。下の図の、赤い線の長さが同じになる、ということです。

なお、左上の正方形は、1辺が $1+2+\cdots+n$ の正方形だ、ということがわかりやすくなるように、回転しています。

さらに、残っていた一辺が $n+1$ の正方形1個を付け加えれば、一辺が $1+2+3+\cdots+n+(n+1)$ の正方形ができあがることがわかります。

この話は n はどんな自然数でも成り立つので、この方法を繰り返していけば、立方体を分解して次々に正方形を作っていくことができます。 $\dfrac{1}{2}n(n+1)$ が、 $1+2+3+\cdots+n$ でもあり、 $n(n+1)$ の半分でもある、というところがうまく効いているため、一辺が $1+2+3+\cdots+n+(n+1)$ の正方形が新しくできるんですね。

おわりに

ここでは、3乗の和の公式を、図形的な視点で考えました。立方体をスライスして、正方形状に並べられる、というふうに見ることができるのでした。こうした視覚的なとらえ方ができるのはおもしろいですね。