【発展】因数分解

昔は数学Iで3乗の公式を教えていたのですが、2013年からの新課程では数学IIに移りました。しかし、授業や参考書などによっては、このタイミングで3乗の公式も教える可能性があります。そのため、ここにまとめて挙げておきます。

展開のときも、【発展】展開の公式と紹介していましたが、その因数分解バージョンです。

3乗の因数分解の公式

展開の公式を逆にしたものが因数分解の公式なので、顔ぶれは同じです。3乗の因数分解の公式は次の通りです。

【3乗の因数分解の公式】
\begin{eqnarray}
& & a^3 +3a^2b +3ab^2 +b^3 = (a+b)^3 \\
& & a^3 -3a^2b +3ab^2 -b^3 = (a-b)^3 \\[5pt] & & a^3 +b^3 = (a+b)(a^2-ab+b^2) \\
& & a^3 -b^3 = (a-b)(a^2+ab+b^2) \\[5pt] \end{eqnarray}

実際の問題では $8x^3+27y^3$ などを因数分解するのですが、3乗が出てくるのでわかりやすいですね。上の公式では、3つ目と4つ目の式の符号に注意しましょう。2つ目のカッコの中の $ab$ の符号は間違いやすいです。

3乗の因数分解の公式2

【発展】展開の公式で紹介した中で一番最後に挙げたものがあります。

\begin{eqnarray}
a^3+b^3+c^3-3abc = (a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)
\end{eqnarray}

これは公式といえば公式ですが、使いどころはあまりありません。難関大学の入試では、この因数分解を使うことはありますが、定期試験やセンター試験レベルではほとんど見ることはありません。

右辺を展開すれば左辺は出てきますが、逆に左辺から右辺にたどり着く方法を考えてみましょう。

上で書いた4つの公式のうち、1つ目の公式を次のように変形します。
\begin{eqnarray}
a^3 +b^3 &=& (a+b)^3 -3a^2b -3ab^2 \\
\end{eqnarray}これに、$c^3-3abc$ を足せば、考えている式の左辺になりますね。
\begin{eqnarray}
& &
a^3 +b^3 +c^3 -3abc \\
&=&
(a+b)^3 -3a^2b -3ab^2 +c^3-3abc \\
&=&
(a+b)^3 +c^3 -3a^2b -3ab^2 -3abc \\
&=&
(a+b)^3 +c^3 -3ab(a+b+c) \\
\end{eqnarray}

次に、この式の前半部分 $(a+b)^3 +c^3$ に対して、上で書いた4つの公式の3つ目を使います。すると、次のように式変形できます。
\begin{eqnarray}
& &
(a+b)^3 +c^3 -3ab(a+b+c) \\
&=&
(a+b+c)\{(a+b)^2-(a+b)c+c^2\} -3ab(a+b+c) \\
&=&
(a+b+c)(a^2+2ab+b^2-ac-bc+c^2) -3ab(a+b+c) \\
&=&
(a+b+c)(a^2+2ab+b^2-ac-bc+c^2-3ab) \\
&=&
(a+b+c)(a^2+b^2+c^2 -ab-bc-ca) \\
\end{eqnarray}このように因数分解することができます。なかなかハードルが高いですね。何も知らない状態で、この因数分解を思いつくのは厳しいでしょう。

例題

上で因数分解した式
\begin{eqnarray}
a^3+b^3+c^3-3abc = (a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)
\end{eqnarray}を使うと、おもしろい式変形ができる、というのを紹介します。

次の式を因数分解せよ。
$(x-y)^3+(y-z)^3+(z-x)^3$

もちろん、全部展開してから因数分解する、という手もありますが、上の公式を使ってみましょう。$a=x-y$ などとすると、右辺の $a+b+c$ の部分が0になることがわかりますよね。つまり、このとき、$a^3+b^3+c^3=3abc$ が成り立ちます。つまり、この公式を使えば、
\begin{eqnarray}
(x-y)^3+(y-z)^3+(z-x)^3 = 3(x-y)(y-z)(z-x)
\end{eqnarray}となることがわかります。計算しなくても、一瞬で因数分解することができるんですね。

このように、\[ a^3+b^3+c^3-3abc = (a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca) \]の公式を使うときに、$a+b+c=0$ であれば、$a^3+b^3+c^3=3abc$ が成り立つので、かなり式変形が簡単になります。

ただ、この式が出てくる機会は少ないので、パッと思い出すのは難しいです。