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【応用】三次関数の最大・最小(極値が動く)

ここでは、係数に文字が含まれている三次関数の最大・最小を求める問題を考えます。

📘 目次

係数に文字が含まれている三次関数の最大・最小

例題
a を正の定数とする。三次関数 $f(x)=x^3-6ax^2+9a^2x$ の $0\leqq x \leqq 1$ における最大値を求めなさい。

最大値を求めるには、グラフをかいて考える必要があります。そのため、微分をして増減表をかいてみます。

微分すると
\begin{eqnarray} f'(x) &=& 3x^2-12ax+9a^2 \\[5pt] &=& 3(x^2-4ax+3a^2) \\[5pt] &=& 3(x-a)(x-3a) \\[5pt] \end{eqnarray}となるので、 $f'(x)=0$ とすると、 $x=a,3a$ となります。

a は正の定数なので、 $a \lt 3a$ が成り立ちます。そのため、増減表は次のようになります。
\begin{array}{c|ccccc} x & \cdots & a & \cdots & 3a & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & f(a) & \searrow & f(3a) & \nearrow \end{array}ただ、今考えようとしている区間は $0\leqq x \leqq 1$ です。この区間が、この増減表のどの部分を表しているかを考えないといけません。

すぐにわかるのは、区間の左端、 $x=0$ です。 $a\gt 0$ なので、 $x=0$ は、 $x=a$ より左にあることがわかります。しかし、区間の右端、 $x=1$ がどこにくるかは決まりません。いろんな可能性があります。

ありえるパターンとして、まず、 $x=1$ が $x=0$ と $x=a$ の間に来る場合があります。この場合、グラフは $0\leqq x \leqq 1$ で単調増加になります。

そのため、最大値は、区間の右端、つまり、 $f(1)$ となります。こうなるのは、 $a \gt 1$ のときですね。

$x=1$ が $x=a$ と $x=3a$ の間に来る場合もありますね。このとき、グラフは次のようになります。

この場合は、極大値が最大値となります。つまり、 $f(a)$ が最大値です。こうなるのは、 $a \leqq 1 \leqq 3a$ のときですね。左の不等式から $a\leqq 1$ となり、右の不等式から $\dfrac{1}{3}\leqq a$ なので、これは $\dfrac{1}{3}\leqq a \leqq 1$ のとき、ということです。

最後に、 $x=1$ が $x=3a$ より右に来る場合があります。 $3a\lt 1$ なので、 $a\lt\dfrac{1}{3}$ の場合ですね。このとき、グラフは、次のようになる場合があります。

この場合は、先ほどと同じように、極大値が最大値になります。しかし、次のようになる場合もありえます。

この場合なら、区間の右端で最大となります。つまり、2パターンあるわけですね。この境目になる場合を考えてみましょう。つまり、極大値 $f(a)$ と区間の右端 $f(1)$ が同じ値になる場合です。 $f(x)=x^3-6ax^2+9a^2x$ なので、
\begin{eqnarray} f(a) &=& f(1) \\[5pt] a^3-6a^3+9a^3 &=& 1-6a+9a^2 \\[5pt] 4a^3-9a^2+6a-1 &=& 0 \\[5pt] (a-1)(4a^2-5a+1) &=& 0 \\[5pt] (a-1)^2(4a-1) &=& 0 \\[5pt] a &=& 1,\frac{1}{4} \end{eqnarray}となります。 a が小さくなればなるほど、 $x=3a$ と $x=1$ は離れ、区間の右端が大きくなります。そのため、 $0\lt a \lt \dfrac{1}{4}$ のときには $f(1)$ が最大、 $\dfrac{1}{4} \leqq a \lt \dfrac{1}{3}$ のときには $f(a)$ が最大、となります。境目の $a=\dfrac{1}{4}$ は、 $f(1)=f(a)$ なので、どちらに入れても構いません。

さて、ここまでの内容をまとめましょう。最大値となるのは、区間の右端か、極大値、となるのでしたね。2つのケースがあるので、場合分けをして答えないといけません。

区間の右端で最大となるのは、一つ目のケース $a\gt 1$ と三つ目のケースの一部 $0\lt a \lt \dfrac{1}{4}$ のときでしたね。この場合は、最大値は $f(1)=9a^2-6a+1$ となります。

極大値が最大値となるのは、二つ目のケースと三つ目のケースの一部を合わせて $\dfrac{1}{4} \leqq a \leqq 1$ のときですね。この場合の最大値は $f(a)=4a^3$ となります。

よって、答えは
$a\gt 1$, $0\lt a \lt \dfrac{1}{4}$ のときは、 $9a^2-6a+1$
$\dfrac{1}{4} \leqq a \leqq 1$ のときは、 $4a^3$
となります。

ちなみに、 a を動かしたときに、関数がどう動くかを表すと、次のようになります。

区間の右端が最大になったり、極大が最大になったりしていますね。

おわりに

ここでは、係数に文字が含まれている場合に、最大・最小を求める問題を考えました。係数に文字が入ると、極値をとる場所が動きます。そのため、考えている区間と極値の位置関係を考えながら、どこで最大・最小となるかを求めましょう。

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