【応用】相加・相乗平均の関係と最小値

ここでは、相加・相乗平均の関係を用いて、最小値を求める方法について見ていきます。

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相加・相乗平均の関係を用いて最小値を求める

$x\gt 0$ のとき、相加・相乗平均の関係より\[ x+\frac{1}{x} \geqq 2\sqrt{x\cdot\frac{1}{x}}=2 \]が成り立ちます。これは、「こういう不等式が成り立つ」という関係ですが、見方を変えると「左辺の最小値は $2$ だ」と考えることもできます。つまり、相加・相乗平均の関係は、最小値を求める問題に応用することができます

例えば、次のような問題を考えてみましょう。

例題
$x\gt 0$ のとき、 $x+\dfrac{4}{x+1}$ の最小値を求めなさい。

最小値を求めるために、相加・相乗平均の関係を使ってみましょう。といっても、そのままでは使えませんね。掛けても x が残ってしまい、邪魔です。

なので、少し式変形を行います。掛けて定数になるようにするには、分数の分母にある $x+1$ が無理やり出てくるように変形します。つまり、 x に1を足して後で1を引く、という技を使います。
\begin{eqnarray}
x+\dfrac{4}{x+1}
&=&
x+1+\dfrac{4}{x+1} -1 \\[5pt] \end{eqnarray}こうすると、うまく $x+1$ 同士が消えます。 $x+1\gt 0$ なので、相加・相乗平均の関係を使って
\begin{eqnarray}
x+1+\dfrac{4}{x+1} -1
& \geqq &
2 \sqrt{(x+1) \cdot \dfrac{4}{x+1}} -1 \\[5pt] &=&
3 \\[5pt] \end{eqnarray}が得られます。等号が成り立つのは、 $x+1=\dfrac{4}{x+1}$ のときなので
\begin{eqnarray}
(x+1)^2 &=& 4 \\[5pt] x+1 &=& \pm 2 \\[5pt] x &=& 1,-3 \\[5pt] \end{eqnarray}となりますが、 $x\gt 0$ なので、 $x=1$ のときだとわかります。

以上から、 $x=1$ のときに、最小値 $3$ をとる、ということがわかります。

相加・相乗平均を使わなかったらどうなるか

上の例題では、相加・相乗平均の関係を使いましたが、これを使わなければどうなるでしょうか。

1つは、「 $=k$ 」とおいて、 $x\gt 0$ を満たす x が存在するような k の範囲を考える、という方法があります。難しいですが、一度解いてみましょう。

\[ x+\frac{4}{x+1}=k \]とおきます。 $x\gt 0$ なので、少なくとも $k\gt 0$ がわかります。これを変形すると、次のようになります。
\begin{eqnarray}
x+\frac{4}{x+1} &=& k \\[5pt] x(x+1)+4 &=& k(x+1) \\[5pt] x^2+x+4 &=& kx+k \\[5pt] x^2+(1-k)x+(4-k) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}この2次方程式が $x\gt 0$ の範囲で実数解をもつ条件を考えてみます。すると、まず「実数解をもつ」という条件から、判別式が0以上という条件が得られます。これを計算すると
\begin{eqnarray}
(1-k)^2 -4(4-k) \geqq 0 \\[5pt] k^2 -2k +1 +4k-16 \geqq 0 \\[5pt] k^2 +2k -15 \geqq 0 \\[5pt] (k-3)(k+5) \geqq 0 \\[5pt] k \geqq 3, \ k \leqq -5
\end{eqnarray}と解けます。 $k\gt 0$ なので、 $k \geqq 3$ が得られます。

この条件は、「実数解をもつ」という条件から得られたものなので、まだ $x\gt 0$ の解を持つかどうかはわかりません。しかし、\[ x^2+(1-k)x+(4-k) = 0 \]の式の x の係数部分を見ると\[ 1-k \leqq -2 \]なので、放物線\[ y=x^2+(1-k)x+(4-k) \]の軸は $x=1$ かこれよりも右にあることがわかります。この位置に軸があって実数解をもつなら、正の解をもつことがわかります。つまり、 $k \geqq 3$ を満たせば、上の等式を満たす正の実数解 x を持つことがわかります。

以上から、最小値は $3$ のときだとわかります。そのときの x は、 $k=3$ を代入して $x=1$ が得られます。

ただ、この解き方は時間もかかるうえ、慣れていないと少し難しいです。また、将来学ぶ「微分」を使って解くこともできますが、この方法もやはり時間がかかります。相加・相乗平均の関係を使えば解けることに気づけるなら、この解き方が一番楽でスッキリしています。

おわりに

ここでは、相加・相乗平均の関係を使って、最小値を求める問題を考えました。和や積をとる前の数字が正の場合は、相加・相乗平均を使って簡単に解ける場合があるので、使えるときは積極的に使っていきましょう。