【基本】ベクトルの成分と演算

ここでは、ベクトルの成分を用いると、ベクトルの演算がどのようになるかを見ていきます。

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ベクトルの大きさ

$\vec{a}=(a_1,a_2)$ とします。【基本】ベクトルの成分で見た通り、これは、 $\vec{a}$ というベクトルの、右方向の成分が $a_1$, 上方向の成分が $a_2$ であることを表しています。

そのため、このベクトルの大きさ $|\vec{a}|$ は、三平方の定理から\[ |\vec{a}|=\sqrt{a_1^2+a_2^2} \]と書くことができます。上の例であれば、 $\sqrt{3^2+(-2)^2}=\sqrt{13}$ になる、ということです。

成分を用いたベクトルの大きさ
$\vec{a}=(a_1,a_2)$ のとき、このベクトルの大きさは、次で表すことができる。\[ |\vec{a}|=\sqrt{a_1^2+a_2^2} \]

ベクトルの足し算・引き算

次に、ベクトルの足し算・引き算を、ベクトルの成分を使ったときにどうなるかを見ていきましょう。

$\vec{a}=(a_1,a_2)$, $\vec{b}=(b_1,b_2)$ としましょう。このとき、基本ベクトルを用いて、これらのベクトルを書き直してみましょう。基本ベクトルというのは、【基本】ベクトルの成分で見た通り、長さが $1$ で、 x 軸に平行なもの、 y 軸に平行なベクトルで、 $\vec{e_1}$, $\vec{e_2}$ を用いて表します。

これらを使えば、
\begin{eqnarray}
\vec{a} &=& a_1\vec{e_1} +a_2\vec{e_2} \\
\vec{b} &=& b_1\vec{e_1} +b_2\vec{e_2} \\
\end{eqnarray}となります。よって、両辺をそれぞれ足せば、
\begin{eqnarray}
\vec{a}+\vec{b}
&=&
(a_1\vec{e_1} +a_2\vec{e_2}) \\
& & +(b_1\vec{e_1} +b_2\vec{e_2}) \\[5pt] &=&
(a_1+b_1)\vec{e_1}+(a_2+b_2)\vec{e_2}
\end{eqnarray}となります。このことから、 $\vec{a}+\vec{b}$ を成分で書くと、\[ (a_1+b_1,a_2+b_2) \]となることがわかります。つまり、成分で考えると、「ベクトルの和は、それぞれの成分の和である」ということができます。差の場合も同様です。

成分を用いたベクトルの和と差
ベクトルの成分を用いると、和と差について、次が成り立つ。
\begin{eqnarray}
(a_1,a_2)+(b_1,b_2) &=& (a_1+b_1,a_2+b_2) \\[5pt] (a_1,a_2)-(b_1,b_2) &=& (a_1-b_1,a_2-b_2) \\[5pt] \end{eqnarray}

ベクトルの定数倍

続いて、ベクトルの整数倍を、成分を用いて考えてみましょう。

$\vec{a}=(a_1,a_2)$ とすると、\[ \vec{a} = a_1\vec{e_1} +a_2\vec{e_2} \]と書けるため、 k 倍をしたものは
\begin{eqnarray}
k\vec{a}
&=&
k(a_1\vec{e_1} +a_2\vec{e_2}) \\[5pt] &=&
ka_1\vec{e_1} +ka_2\vec{e_2} \\[5pt] \end{eqnarray}となるので、この成分は\[ (ka_1,ka_2) \]となります。つまり、成分で考えると、「ベクトルの定数倍は、それぞれの成分の定数倍である」ということができます。

成分を用いたベクトルの定数倍
ベクトルの成分を用いると、定数倍について、次が成り立つ。\[ k(a_1,a_2) = (ka_1,ka_2) \]

ベクトルの成分と演算

以上から、ベクトルの和は成分の和、ベクトルの差は成分の差、ベクトルの定数倍は成分の定数倍、であることがわかりました。

【基本】ベクトルの足し算で見た通り、もともと、ベクトルの和は、しりとりのようにつなげるんだとか、平行四辺形の対角線だなどと考えていて、今までの足し算と少し様子が違うようにも見えました。しかし、成分で考えれば、今まで扱ってきた「数の足し算」とうまくリンクしているように見えますね。

最後に、実際に具体的な計算をしてみましょう。 $\vec{a}=(3,-2)$, $\vec{b}=(-1,3)$, $\vec{a}=(1,4)$ のとき、 $\vec{a}+2\vec{b}-\vec{c}$ を計算してみましょう。成分で考えると
\begin{eqnarray}
\vec{a}+2\vec{b}-\vec{c}
&=&
(3,-2)+2(-1,3)-(1,4) \\[5pt] &=&
(3,-2)+(-2,6)+(-1,-4) \\[5pt] &=&
(3-2-1,-2+6-4) \\[5pt] &=&
(0,0) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、\[ \vec{a}+2\vec{b}-\vec{c}=\vec{0} \]であることがわかります。

このことからわかる通り、成分で考えると、図をかかなくても計算することができるんですね。これは、成分を考えることの大きなメリットです。(実際の問題を解くときには図をかいたほうがわかりやすくなることが多いですが)

おわりに

ここでは、ベクトルの成分を使って、ベクトルの大きさやベクトルの和・差・定数倍について見てきました。そして、成分表示することによって、三角形や平行四辺形を用いたベクトルの和の定義が、数の和とうまくリンクしていることも見ました。直感的に理解しやすいと思います。