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【基本】負の数の平方根

ここでは、負の数の平方根について見ていきます。計算間違いをしやすい部分があるので、注意してみていきましょう。

📘 目次

マイナス1の平方根

すでに知っている $\sqrt{2}$ という数について考えてみましょう。これはどんな数字だったかというと、「2乗して $2$ になる正の数」でしたね。分数では表せないため、こうした記号 $\sqrt{\quad }$ を使って表すのでした。

さて、【基本】複素数で見たように、複素数の世界にまで数の範囲を広げましたが、平方根の世界も同じように広げることができます。例えば、虚数単位 i については\[ i^2=-1 \]が成り立ちますが、これは「i は、2乗して $-1$ になる数(複素数)だ」とも言えます。そのため、次のように書くことができます。\[ \sqrt{-1} = i \]

2乗して $-1$ になる数(複素数)は、 $-i$ もあります。ですが、 $\sqrt{-1}$ は、 $\pm i$ のうち、虚部が正のほう(つまり、i)を表すこととします。 $\sqrt{2}$ が「2乗して $2$ になるの数」を表すようにしたことと対応させています。

なお、 $-1$ の平方根は、 $\pm i$ だということができます。

負の数の平方根

$-1$ の平方根は $\pm i$ と書くことを見ましたが、一般的な負の数の場合はどうなるか、考えてみましょう。

$a\gt 0$ のとき、2乗して $-a$ になる数を考えてみます。これは、2乗して $-1$ になる部分と a になる部分に分けられると考えれば、\[ (\sqrt{a}i)^2=(-\sqrt{a}i)^2=-a \]となることがわかります。これより、 $-a$ の平方根は $\pm \sqrt{a} i$ となることがわかります。なお、 $x^2+a^2=0$ の解は2つ以下なので、「2乗して $-a$ になる数」はこれらだけです。

$a\gt 0$ のとき、2乗して $-a$ となる数は2つありますが、ここでも虚部が正となるもの、つまり、 $\sqrt{a}i$ の方を、 $\sqrt{-a}$ だと定めます。

以上をまとめると、次のようになります。

負の数の平方根
$a\gt 0$ のとき、\[ \sqrt{-a}=\sqrt{a}i \]とする。また、 $-a$ の平方根は、 $\pm\sqrt{a}i$ とかける。

つまり、\[ \sqrt{-3}=\sqrt{3}i \]であり、 $-8$ の平方根は\[ \pm\sqrt{-8}= \pm 2\sqrt{2} i \]となります。

負の数の平方根同士の掛け算

負の数の平方根について見てきましたが、これらを使った計算をすることもあります。この負の数の平方根の計算については、間違いやすいところがあります。

すごく基本的な計算ですが、次の計算結果はどうなるでしょうか。\[ \sqrt{-1} \times \sqrt{-1} \]これは、「2乗して $-1$ になる数」を2乗していることと同じです。なので、答えは $-1$ となります。

このことからわかる重要なことは、ルートの中同士を先に計算してはいけないということです。ルートの中を先に計算してしまうと、 $\sqrt{(-1)^2}=1$ となってしまいますが、これは正しくありません。

もう少し応用した例を見てみましょう。\[ \sqrt{-2} \times \sqrt{-3} \]これもルートの中同士を先に計算してはいけません。ではどうするかというと、上の定義にのっとって、\[ \sqrt{-a}= \sqrt{a}i \]という変形をします。
\begin{eqnarray} & & \sqrt{-2} \times \sqrt{-3} \\[5pt] &=& \sqrt{2} i \times \sqrt{3} i \\[5pt] &=& \sqrt{6} \times i^2 \\[5pt] &=& -\sqrt{6} \\[5pt] \end{eqnarray}これが正しい計算方法です。

$a,b\gt 0$ のときに、今まで自然に\[ \sqrt{a} \times \sqrt{b}=\sqrt{ab} \]と計算していましたが、ルートの中が負の場合は成り立ちません。そのため、上のように、\[ \sqrt{-a} =\sqrt{a}i \]という変形をしてから計算しなくてはいけません。でないと、符号の部分で間違ってしまいます

割り算も同様で
\begin{eqnarray} \sqrt{2} \div \sqrt{-3} &=& \frac{\sqrt{2} }{\sqrt{3}i} \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{2} \sqrt{3}i}{\sqrt{3}i\sqrt{3}i} \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{6}i}{3i^2} \\[5pt] &=& -\frac{\sqrt{6} }{3}i \\[5pt] \end{eqnarray}となります。 $\sqrt{2} \div \sqrt{-3}$ を $\sqrt{-\dfrac{2}{3} }=\dfrac{\sqrt{6} }{3}i$ と計算してはいけないことに注意しましょう。

おわりに

ここでは、負の数の平方根と、その計算について見ました。負の数の平方根を使った計算を見たら、すぐに i を使った表現に変えるようにしましょう。そうすると、計算間違いが減るようになります。

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