【基本】和の記号Σと部分分数分解

ここでは、 $\sum$ を使った計算のうち、部分分数分解を利用するものを見ていきます。

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分解して足す

例題
次の和を求めなさい。\[ \sum_{k=1}^n \dfrac{1}{k(k+1)} \]

これはどういう和なのか、具体的に書いてみると次のようになります。
\begin{eqnarray}
& &
\sum_{k=1}^n \dfrac{1}{k(k+1)} \\[5pt] &=&
\frac{1}{1\cdot 2}+\frac{1}{2\cdot 3}+\frac{1}{3\cdot 4}+\cdots+\frac{1}{n(n+1)}
\end{eqnarray}最後は、 $k=n$ としたものになります。

こうした和は、今までの公式では求められません。等差数列や等比数列の和ではないし、自然数の和の公式なども使えません。

ではどうするかというと、これは公式なんてなくても、ちょっとしたテクニックで求められるんですね。

各項を分解して考えます。例えば、次の式が成り立ちます。\[ \frac{1}{2\cdot 3}=\frac{1}{2}-\frac{1}{3} \]これは、右辺を計算すればわかります。右辺を通分したときに、分母同士の積が出てきます。分子は、もとの分数の分母の差が出てきます。この差は $1$ ですね。なので、右辺は左辺と等しくなります。

これは、一般的にもなりたち、次のように書くことができます。\[ \frac{1}{k(k+1)}=\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1} \]右辺を計算したら、左辺になることがわかります。このように、左辺の式を、右辺のような差に分解することができます。

差に分解できれば何がいいかと言うと、次のようにたくさんの項が相殺されるようになるんですね。
\begin{eqnarray}
& &
\sum_{k=1}^n \dfrac{1}{k(k+1)} \\[5pt] &=&
\frac{1}{1\cdot 2}+\frac{1}{2\cdot 3}+\frac{1}{3\cdot 4}+\cdots+\frac{1}{n(n+1)} \\[5pt] &=&
\left(\frac{1}{1}-\frac{1}{2}\right)+\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}\right)+\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{4}\right) \\[5pt] & & +\cdots+\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}こうすれば、1つ目のカッコの後半と2つ目のカッコの前半、2つ目のカッコの後半と3つ目のカッコの前半、…、と相殺することができ、最後は、 $n-1$ 個目のカッコの後半と $n$ 個目のカッコの前半が相殺されます。

最終的に残るのは、1つ目のカッコの前半 $\dfrac{1}{1}$ と、最後のカッコの後半 $-\dfrac{1}{n+1}$ だけです。以上から\[ 1-\frac{1}{n+1}=\frac{n}{n+1} \]となります。

実際、 $n=3$ くらいで試してみましょう。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{1\cdot 2}+\frac{1}{2\cdot 3}+\frac{1}{3\cdot 4} \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}+\frac{1}{6}+\frac{1}{12} \\[5pt] &=&
\frac{6+2+1}{12} \\[5pt] &=&
\frac{3}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。これは先ほど求めた $\dfrac{n}{n+1}$ で $n=3$ とした式になっています。確かにあってそうですね。

ここで見たように、 $\dfrac{1}{k(k+1)}$ を $\dfrac{1}{k}-\dfrac{1}{k+1}$ と分解するテクニックは、いろいろなところで出てきます。これを「部分分数分解」(partial fraction decomposition)といったり「部分分数の差に分ける」などということがあります。

$\sum$ の計算で、各項の分母が動く場合は、この「部分分数分解」のテクニックが使えないか、試してみましょう。

おわりに

ここでは、 $\sum$ の計算で、部分分数分解をして計算するものを見ました。知らないと思いつくのはとても難しいので、頭に入れておきましょう。