【基本】ベクトルの和の定数倍

ここでは、ベクトルの和を定数倍したものなど、定数倍や和を組み合わせた場合の計算について見ていきます。

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ベクトルの定数倍に関する性質

ベクトル $\vec{a}$ に定数 k を掛けた $k\vec{a}$ は、$\vec{a}$ の長さを $|k|$ 倍にし、符号によって向きを変えるんでしたね(参考:【基本】ベクトルの定数倍)。このことから、次が成り立つことはすぐにわかるでしょう。\[ k(l\vec{a})=(kl)\vec{a} \]つまり、「定数倍したベクトルの定数倍」は、定数倍部分を計算してから考えればいい、ということです。長さと向きに着目すれば、これが成り立つことはわかると思います。

また、次も、長さと向きに着目すれば、成り立つことがわかるでしょう。\[ (k+l)\vec{a}=k\vec{a}+l\vec{a} \]どちらも、 $\vec{a}$ の $|k+l|$ 倍の長さで、 $(k+l)$ の符号によって、 $\vec{a}$ と同じ向きか反対の向きかが変わります。

ベクトルの和の定数倍

続いて、次のベクトル\[ k(\vec{a}+\vec{b}) \]について考えましょう。ベクトルの和を定数倍したものです。

$\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }=\vec{a}$, $\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }=\vec{b}$ となるように、 O, A, B をとったとします。

このとき、 $k\overrightarrow{ \mathrm{ OB } }$ がどうなるかを考えればいいですね。 $k\gt 0$ のときは次のようになります。

$\overrightarrow{ \mathrm{ OB’ } }=k\overrightarrow{ \mathrm{ OB } }$ となるような点 $\mathrm{ B }’$ をとります。また、 $\mathrm{ B’ }$ を通る AB に平行な直線と、直線 OA との交点を $\mathrm{ A }’$ とします。すると、三角形 OAB と三角形 $\mathrm{ OA’B’ }$ は相似なので、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ OA’ } }=k\overrightarrow{ \mathrm{ OA } },\quad \overrightarrow{ \mathrm{ A’B’ } }=k\overrightarrow{ \mathrm{ AB } } \]となることがわかります。向きが同じ(延長線or平行より)で、長さが k 倍だからです。

このことから、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ OB’ } }=\overrightarrow{ \mathrm{ OA’ } }+\overrightarrow{ \mathrm{ A’B’ } }=k\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }+k\overrightarrow{ \mathrm{ AB } } \]であることがわかります。 $k\lt 0$ のときは、 $\mathrm{ A }’, \mathrm{ B }’$ の位置が反対になるだけで、同様に成り立ちます。 $k=0$ のときも明らかに成り立ちます。

つまり、\[ k(\vec{a}+\vec{b})=k\vec{a}+k\vec{b} \]が成り立つということです。言葉で書くと「ベクトルの和の定数倍は、ベクトルの定数倍の和に等しい」ということですね。

ベクトルの和・差・定数倍

今まで、【基本】ベクトルの足し算【基本】ベクトルの引き算【基本】ベクトルの定数倍でベクトルの計算を見てきました。さらに、上でもベクトルの計算を見ました。

このことから何が言えるかというと、ベクトルの和・差・定数倍については、文字の計算と同じように計算ができる、ということです。

例えば、\[ 3\vec{x}-2\vec{a}=4\vec{b}+\vec{x} \]という式から、 $\vec{x}$ を $\vec{a}$, $\vec{b}$ で表してみましょう。

両辺に $2\vec{a}$ を足しても、等式は成り立ったままです。等しいベクトルに同じベクトルを足しても結果は同じですね。また、 $2\vec{a}-2\vec{a}=\vec{0}$ となることや $\vec{0}$ を足しても変化しないことを使うと\[ 3\vec{x}=2\vec{a}+4\vec{b}+\vec{x} \]となります。つまり、移行ができるということですね。なので、さらに\[\
2\vec{x}=2\vec{a}+4\vec{b} \]とできることがわかります。さらに、両辺を $2$ でわると、右辺はそれぞれを $2$ で割ることに等しい(先ほど見た、ベクトルの和の定数倍の性質より)ので\[ \vec{x}=\vec{a}+2\vec{b} \]となります。

このように、ベクトルの計算を

  • ベクトルが等しいとは、向きと大きさが等しいということ
  • ベクトルの和は、しりとりのようにつなげて、1つ目の始点と2つ目の終点をつなげたもの(もしくは、平行四辺形の対角線)
  • 逆ベクトルは、元のベクトルと同じ大きさで向きが反対のベクトル
  • ベクトルを引くときは、逆ベクトルを足す(もしくは、足して元に戻るベクトルを対応させる)
  • ベクトルの定数倍は、長さを定数倍して、符号に応じて向きを変える

と定めれば、ベクトルの世界での計算は、普通の文字の計算のようにできる、ということです。三角形や平行四辺形を使って定義したのに、毎回図をかかなくても計算することができるんですね。

おわりに

ここでは、ベクトルの和の定数倍などの性質を見たあと、簡単なベクトルの計算をしました。成り立つことは特に目新しいものはありませんが、重要なのは、「文字の入った計算と同じような計算ができる」ということです。新しい世界(=ベクトルの世界)でも、今までと似たようなことができる、というのがポイントです。