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【基本】独立試行の確率

ここでは、独立な試行の確率を求める問題を見ていきます。ちなみに、独立試行とは、【基本】独立試行で見たように、「結果が他方の結果に影響しない」ような複数の試行のことをいいます。

📘 目次

場合の数での積の法則

例題
さいころを2回ふったとき、1回目が3以上、2回目が3の倍数となる確率を求めなさい。

まずは、「場合の数」の観点から考えてみます。

さいころを2回ふったときの目の出方は、 $6\times 6$ 通りです。これらは同様に確からしいです。

次に、「1回目が3以上、2回目が3の倍数」となる場合の数を考えてみます。1回目は、「3, 4, 5, 6」の4通り、2回目は「3, 6」の2通りです。1回目が3のときは2回目は2通り、1回目が4のときも2回目は2通り、というように、1回目の各場合に対して、2回目は2通りずつあります。よって、場合の数は、 $4\times 2$ 通りとなります。

厳密にいうと、これは【基本】樹形図と積の法則#積の法則で見たように、1回目の「3, 4, 5, 6」の各目に応じて、2回目の「3, 6」の目がある樹形図がかけることから、積の法則を使っている、といえます。

さて、これらの結果から、確率は、\[ \frac{4\times 2}{6\times 6}=\frac{2}{9} \]となります。

これは、「場合の数」に着目したとき方です。

独立試行の確率

続いて、この例題を、確率に着目して考えてみます。

「1回目が4通りで2回目が2通りなので、 $4\times 2$ 通り」と求められたのは、この試行が独立だからです。お互いの結果に関係ないから、掛け算で求められるんですね。もしこれが、「1から6までの数字から、1個ずつ2回選ぶ(一度選んだ数字は戻さない)」だとすると、掛け算では求められません。1回目に3の倍数を選ぶかどうかで2回目の結果が変わってくるからです。

上の確率の求め方で、「1回目が4通り」と「2回目が2通り」をそれぞれ $6$ で割るように分割すると、次のようになります。\[ \frac{4\times 2}{6\times 6} = \frac{4}{6} \times \frac{2}{6} \]この左辺は、「1回目が3以上、2回目が2以下となる確率」です。右辺は、「1回目が3以上となる確率」と「2回目が2以下となる確率」の積です。これが一致するんですね。

これは、より一般的な状況でも成り立ちます。まとめると次のようになります。

独立試行の確率
2つの試行 S, T は独立とする。このとき、試行 S で事象 A が起こり、試行 T で事象 B が起こるという事象を C とすると、 C が起こる確率は次のように書ける。\[ P(C) = P(A)P(B) \]

少しわかりづらくなっていますが、ざっくりいうと、「結果が互いに影響しないなら、 AB がともに起こる確率は、それぞれが起こる確率を掛けたものになる」ということです。さいころを2回ふったとき、1回目と2回目の結果は互いに影響しないんだから、「1回目が〇で2回目が△になる確率」は、「1回目が〇となる確率」と「2回目が△となる確率」をかければ求められる、ということです。

なぜ確率の積で求められるかというと、もとをたどれば、場合の数で見た積の法則が使えるからです。片方のそれぞれの結果に、もう片方のそれぞれの結果があり、樹形図に同じ形が現れることになります。だから、積で求められるんですね。

「試行が独立である」という条件はとても重要です。独立でなければ、このようにきれいに積の形で切り分けられるとは限りません。

おわりに

ここでは、独立な試行の確率について見てきました。場合の数で見た積の法則を使うことで求めることもできますし、確率の積として計算することもできます。「試行が独立である」という条件に注意して、使うようにしましょう。

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