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【基本】複素数

ここでは、複素数そのものの説明をしていきます。なお、複素数をなぜ考えないといけないのか疑問に思った場合は、【導入】複素数を考える意味についてが役立つかもしれません。

📘 目次

数の範囲の拡大と複素数

【基本】実数の分類でも紹介しましたが、今まで数の範囲がどんどん広がってきましたね。足し算と掛け算が自由にできる自然数から始まり、引き算が自由にできる整数、割り算も自由にできる有理数の世界へと広がり、 $x^2=2$ といった方程式が解けるように無理数も加わった実数の世界まで広がりました。

実数の世界では、一次方程式は必ず解けるようになりました。二次方程式も多くのものが解けるようになりましたが、すべての二次方程式に解があるとは限りません。 $x^2=-1$ といった方程式には解がないですね。

ここで、「2乗してマイナスになる数はないから解けない」とするのではなく、「解けるように、数の範囲を広げる」というように発想を変えてみます。つまり、「2乗をして $-1$ になる数」を新しく導入して、数の範囲を拡大してみる、というわけです。

はじめは、「どうしてこんなことを考えるんだろう」と思うかもしれませんが、こうした数を導入することによって、数学の世界や自然科学の世界で、様々なことがわかるようになります(参考:【導入】複素数を考える意味について)。

ですので、以下では、この「2乗をして $-1$ になる数」を導入した世界、複素数の世界について考えていきます。

複素数

「2乗をして $-1$ になる数」という新しい数を導入し、その数を i で表します。この i のことを、虚数単位(imaginary unit) といいます。imaginary(想像上の) の頭文字をとって i と表します。定義から、\[ i^2=-1 \]が成り立ちます。

この虚数単位と、2つの実数 a, b を組み合わせて\[ a+bi \]と書けるものを、複素数(complex number) といいます。

また、複素数を上のように書いたときに、 a のことを実部(real part)、 b のことを虚部(imaginary part)といいます。虚部は、 bi ではなく、 b であることに注意しましょう。

例えば、 $1-2i$ であれば、実部は $1$ で、虚部は $-2$ となります。

実数 $5$ は、実部が $5$ で、虚部は $0$ となります。このように、実数は、虚部が $0$ の複素数と考えられるので、実数は複素数に含まれます。

複素数のうち、実数でないものは、 $a+bi$ で $b\ne0$ を満たすものですが、こうした数を虚数(きょすう、imaginary number)といいます。つまり、複素数は、実数と虚数を合わせたもの、ということができます。両方に含まれる数はありません。

 複素数 $a+bi$
 ┣ 実数 ($b=0$ のとき)
 ┗ 虚数 ($b\ne0$ のとき)

また、複素数のうち、実部が $0$ で、虚部が $0$ でないもの、つまり、 $bi$ と書けるものは、純虚数(pure imaginary number) といいます。

こうした言葉は、教科書の説明や、問題文にもよく出てきます。例えば、「この複素数が純虚数になる場合はいつか」みたいな問題が今後出てくることがあります。言葉の意味がわからないと、何をしたらいいかわかりません。それぞれの言葉が、何を指しているかわかるようになっておきましょう。

2つの複素数が等しいとき

ここでは、$i$ 以外の文字は実数とします。

$a+bi=0$ のとき、 $a=-bi$ と書けます。左辺を2乗すると $a^2$ となります。右辺を2乗すると、 $(-b)^2=b^2$ と $i^2=-1$ から、 $-b^2$ となります。 a, b は実数だから、前者は0以上、後者は0以下なので、両方とも0になるしかありません。つまり、\[ a=b=0 \]となります。

このことを使うと、2つの複素数が等しいとき、つまり、\[ a+bi = c+di \]となっていた場合は\[ (a-c)+(b-d)i = 0 \]と書けることから、\[ a-c=0, \quad b-d=0 \]となります。複素数が等しければ、実部同士・虚部同士が等しくなる、ということですね。 i は変数ではありませんが、変数と同じように係数比較ができる、というわけです。

おわりに

ここでは、複素数と、それに関連する用語の説明を見てきました。はじめは「2乗をして $-1$ になる数」を受け入れづらいと思いますが、徐々に慣れていくようにしましょう。

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