【基本】複素数の四則演算

ここでは、複素数の世界での四則演算を見ていきます。なお、ここでは、虚数単位を i とし、他の文字は実数を表すとします。

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複素数の足し算・引き算

複素数の足し算・引き算は、実部同士・虚部同士の足し算・引き算をします。例えば
\begin{eqnarray}
(2+i) +(-1+3i)
&=&
(2-1)+(1+3)i \\
&=&
1+4i \\[5pt] (2+i) -(-1+3i)
&=&
(2+1)+(1-3)i \\
&=&
3-2i \\
\end{eqnarray}となります。 i を文字だと思って計算すればOKです。

複素数の掛け算

複素数の掛け算も、基本は i を文字だと思って計算するのですが、 $i^2=-1$ なので、この置き換えを行います。 $\left(\sqrt{2}\right)^2$ をこのままにしないで $2$ と変形することと同様です。
\begin{eqnarray}
(2+i)(-1+3i)
&=& 2\cdot(-1)+2\cdot3 i +1\cdot(-1) i +1\cdot 3 i^2 \\
&=& -2 +6i -i -3 \\
&=& -5 +5i
\end{eqnarray}となります。

複素数の積が0の場合

実数の場合、2つの積が0なら、どちらかは0です。このことは、複素数の場合でも成り立ちます。以下で説明をしますが、よくわからない場合は、ここは飛ばして、とりあえず「複素数の場合も、掛けて0なら、どちらかは0なんだな」ということだけを知っておきましょう。

2つの複素数 $a+bi$, $c+di$ の積が、0だったとしましょう。積はこう変形できます。
\begin{eqnarray}
(a+bi)(c+di)
&=&
(ac-bd)+(ad+bc)i
\end{eqnarray}これが0ということは、実部も虚部も0ということです(参考:【基本】複素数#2つの複素数が等しいとき)。よって、\[ bd=ac,\ bc=-ad \]が成り立ちます。

このことを利用すると\[ abcd=ac\cdot bd=(ac)^2 \]であり、\[ abcd=ad\cdot bc=-(ad)^2 \]と変形することもできます。つまり、\[ (ac)^2=-(ad)^2 \]が成り立ちます。左辺は0以上、右辺は0以下なので、両辺は0しかありません。よって、 $ac=ad=0$ であり、 $bc=bd=0$ も成り立ちます。

このことから、もし $a\ne0$ とすると、 $ac=ad=0$ から、 $c=d=0$ が得られます。一方、 $a=0$ とすると $bc=bd=0$ より、 $b=0$ か $c=d=0$ が成り立ちます。つまり、どの場合も、 $a=b=0$ または $c=d=0$ が得られます。これは、 $a+bi=0$ または $c+di=0$ ということですね。

以上から、複素数の場合も、積が0なら、どちらかは0だ、ということが言えます。

共役複素数

続いて、複素数の割り算を見ますが、その前に共役複素数について見ておきます。

$a+bi$ という複素数に対して、虚部の符号を反転させたもの、つまり、 $a-bi$ のことを、共役複素数(きょうやくふくそすう、complex conjugate)といいます。また、記号では、\[ \overline{a+bi} \]で表します。複素数の上に線を引いて、共役複素数であることを示しています。

この共役複素数に関しては、次の性質がとても重要です。
\begin{eqnarray}
(a+bi)(a-bi)
&=&
a^2 -(bi)^2 \\[5pt] &=&
a^2 -b^2 i^2 \\[5pt] &=&
a^2 +b^2 \\[5pt] \end{eqnarray}複素数に共役複素数を掛けると、結果は実数になるんですね。複素数の割り算では、この性質を使って計算します。

複素数の割り算

複素数の割り算は、分母にルートが入っているときの有理化と似たような計算をします(参考:【標準】分母に項が複数あるときの有理化)。分母の共役複素数を分母・分子に掛けて、分母の実数化を行います。
\begin{eqnarray}
\frac{a+bi}{c+di}
&=&
\frac{(a+bi)(c+di)}{(c+di)(c-di)} \\[5pt] &=&
\frac{(ac-bd)+(ad+bc)i}{c^2+d^2} \\[5pt] \end{eqnarray}このように計算します。分母の変形で、先ほどの「共役複素数との積」の計算を使っています。分母が0になるのは、 $c+di=0$ のときだけですが、複素数の世界でも、0で割ることは考えません。

上の計算結果は、公式として覚えるものではありません。毎回、分母の実数化を行って計算します。分母・分子に、分母の共役複素数を掛けて計算する、という方法を覚えておきましょう。

複素数に計算に関する注意

今までの計算結果からも分かる通り、複素数の足し算、引き算、掛け算、割り算の計算結果は、どれも複素数になります。複素数の世界では、自由に四則演算ができる、ということです。

また、複素数の世界では、大小関係は考えません。なので、もし「 $\alpha \lt \beta$ 」といった条件式が出てくれば、これは $\alpha$, $\beta$ がともに実数であることを暗に言っている、と考えます。

おわりに

ここでは、複素数の四則演算について見てきました。掛け算・割り算が少し複雑でしたね。 $i^2=-1$ となること、割り算の場合は分母の共役複素数を掛けることをおさえておきましょう。