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【基本】面積と整式の不定積分

ここでは、整式の不定積分が、面積と関係がある、ということを見ていきます。まずは具体的な関数でイメージをつかんでから、一般的な関数で考えていきます。

📘 目次

放物線を使った面積と不定積分

ここでは、 $f(x)=x^2$ とします。この不定積分は、【基本】整式の不定積分で見たように\[ \int f(x) dx=\int x^2 dx=\frac{1}{3}x^3+C \]となります(C は積分定数)。これは、「微分して $f(x)=x^2$ となる関数は、 $\dfrac{1}{3}x^3+C$ である」ということを表しているのでした(参考:【基本】不定積分)。

以下では、この不定積分が面積と関係がある、ということを見ていきましょう。

$y=x^2$ と $x=c$ と $x$ 軸で囲まれた部分の面積を考えてみましょう(c は正とします)。

三角形でも円でもない、こんな形の面積は今まで求めたことがありませんでしたね。この部分の面積は、 $c$ の値によって変わるので、 $S(c)$ という関数で表すことにしましょう。

$h\gt 0$ として、 $x=c+h$ としたときに、面積がどのように変わるか考えてみましょう。

面積の変化分、つまり、赤い部分の面積は、面積を表す関数 $S(x)$ を使えば、 $S(c+h)-S(c)$ と書けますね。これを直接は求められませんが、下の図のように、これより小さい長方形の面積と大きい長方形の面積の間にある、ということはわかります。

小さい方の長方形の面積は、 $h\cdot f(c)=hc^2$ ですね。大きい方は\[ h\cdot f(c+h)=h(c+h)^2 \]です。つまり、次が成り立ちます。\[ hc^2 \lt S(c+h)-S(c) \lt h(c+h)^2 \]$h$ で割ると、次の式が成り立つことがわかります。\[ c^2 \lt \frac{S(c+h)-S(c)}{h} \lt (c+h)^2 \]この式で、 $h\to 0$ とすると、一番右の式は、 $c^2$ に近づいていきます。よって、真ん中の式も、 $c^2$ に近づいていきますね。 $h\lt 0$ のときは、左右が反転するだけで、同じようにして真ん中の式が $c^2$ に近づいていくことがわかります。

ところで、この真ん中の式をよく見ると、実は、微分の定義そのままの式です(参考:【基本】極限値と微分係数)。つまり、これは\[ S'(c)=c^2=f(c) \]である、ということです。 $c$ が正の場合しか考えていませんが、「面積 $S(x)$ は、関数 $f(x)$ の不定積分の1つだ」と言えそうなことがわかります。

面積と整式の不定積分

今までの話を一般的な場合で考えていきましょう。

$f(x)$ を整式とします。また、 $a\leqq x \leqq b$ で $f(x)\geqq 0$ とします。このとき、 $y=f(x)$ と $x=a$, $x=b$, x 軸で囲まれた部分の面積を考えてみましょう。

$a\leqq c \leqq b$ とし、 $x=c$ までの部分の面積を $S(c)$ という関数で表すとします。このとき、 $h\gt 0$ とすると、先ほどと同じように考えれば、 $\dfrac{S(c+h)-S(c)}{h}$ は、 $c\leqq x \leqq c+h$ での最小値以上、最大値以下となることがわかります。

$h\to 0$ とすると、区間が小さくなるにつれ、最小値も最大値も $f(c)$ に近づいていきます。また、 $h\lt 0$ のときも同様です。

このことから、 $S'(c)=f(c)$ であることがわかります。 $a\leqq c \leqq b$ 以外に、 c への制約はないため、 $a\leqq x \leqq b$ のときは $S'(x)=f(x)$ となります。よって、この範囲では、「面積 $S(x)$ は、関数 $f(x)$ の不定積分の1つだ」と言えます。

ここで、 $F(x)=\int f(x) dx$ とすると、両方とも不定積分なので、\[ S(x)=F(x)+C \]となります(C は定数)。 $x=a$ での面積は $0$ なので、
\begin{eqnarray} 0 &=& F(a)+C \\ C &=& -F(a) \\ \end{eqnarray}となります。よって、 $y=f(x)$ と $x=a$, $x=b$, x 軸で囲まれた部分の面積は、 \begin{eqnarray} S(b)=F(b)+C=F(b)-F(a) \end{eqnarray}と書くことができます。

つまり、不定積分を使えば、面積を求めることができる、というわけです。

具体例を見てみましょう。 $f(x)=x^2$ のとき、 $x=1$ と $x=2$ と $y=x^2$ と x 軸で囲まれた部分の面積を求めてみます。 $x^2$ の不定積分は、 $\dfrac{1}{3}x^3+C$ と書けます( $C$ は積分定数)。このうち、 $x=1$ としたときに値が $0$ となるものは $\dfrac{1}{3}x^3-\dfrac{1}{3}$ だから、面積は
\begin{eqnarray} \frac{1}{3}\cdot 2^3 -\frac{1}{3} =\frac{7}{3} \end{eqnarray}となります。

面積と整式の不定積分
整式 $f(x)$ が $a\leqq x \leqq b$ で $f(x)\geqq 0$ であるとする。 $F(x)=\int f(x)dx$ としたとき、 $x=a$, $x=b$, $y=f(x)$, x 軸で囲まれた部分の面積 S は、次で表すことができる。\[ S=F(b)-F(a) \]

おわりに

ここでは、面積が不定積分の1つとなっていることを見ました。積分と面積とをつなぐ、重要な事実であり、今後もよく出てきます。

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