【基本】和の法則(確率)

ここでは、確率での和の法則について見ていきます。和の法則は、場合の数でも出てきますが、その確率バージョンです。内容はとても似ています。また、積事象、和事象、排反事象についても説明します。

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区別できない2つのさいころ

例題
同じ大きさの2つのさいころを投げたとき、出た目の和が5か10となる確率はいくらか。

「同じ大きさのさいころ」は、場合の数の世界では区別しないで考えます。例えば、目の組合せが (1,2) の場合と (2,1) の場合は、どちらが1でどちらが2かわからず、区別できないので、まとめて「1通り」として数えます。

しかし、確率の世界では、区別しないままだと問題が生じます。例えば、目の組合せが (1,1) の場合と (1,2) の場合を比べると、前者は両方とも1でないといけないのに対し、後者はどちらかが1であればどちらかが2であればよく、条件が緩くなっています。なので、起こりやすさに違いが生じることになります。

そのため、確率の世界では、この2つのサイコロは、区別して考えます。これが【基本】同様に確からしいで見た内容です。

さいころを区別するために、それぞれ名前を付けます。さいころAとさいころBとします。こうすると、(A=1,B=2) と (A=2,B=1)の場合は区別がつき、36通りの目の出方は、すべて同様に確からしくなります。あとは、和が5か10になる場合を数えて、36で割ればおしまいです。

まず、和が5になるケースを考えます。これは、(A,B) の目が、(1,4), (2,3), (3,2), (4,1) となる場合なので、4通りです。さいころは区別できると考えているので、2通りではなく4通りとなります。

同様に、和が10となるケースを考えると、(A,B) の目が、(4,6), (5,5), (6,4) となる場合なので、3通りです。

よって、和が5か10となる確率は、\[ \frac{4+3}{36}=\frac{7}{36} \]となります。

積事象、和事象、排反事象

場合の数で、「A かつ Bが起こる場合の数は?」「A または Bが起こる場合の数は?」という問題が出ましたが、確率でも、「A かつ Bが起こる確率は?」「A または Bが起こる確率は?」という問題が出ます。上の例題は「または」を使った問題の例です。

このように、事象 A と事象 B がともに起きる事象のことを、積事象(intersection of events) といいます。

また、事象 A または事象 B が起きる事象(片方だけでも両方起こってもいい)のことを、和事象(union of events) といいます。

なお、積事象は $A \cap B$ で表し、和事象は $A \cup B$ で表します。記号の使い方は、【基本】共通部分と和集合で見た、集合での使い方と同じですね。

積事象や和事象という言葉が、問題文などで使われることはあまりありません。日本語で「AとBがともに起きる確率を求めなさい」と出題されたり、「 $P(A\cup B)$ を求めなさい」と記号を使って出題されることが多いです。

和の法則

場合の数で、次のような和の法則が出てきました。

和の法則(場合の数)
A が起こる場合が a 通りあり、 B が起こる場合が b 通りあるとする。 AB が同時には起こらないとすると、 A または B が起こる場合は、 $a+b$ 通りある。

事象が起こる場合の数を全体の場合の数で割ったものが確率なので、上の確率バージョンが次のようになることもすぐにわかるでしょう。

和の法則(確率)
事象 A と事象 B が同時には起こらないならば、次が成り立つ。\[ P(A\cup B)=P(A)+P(B) \]

これを確率の和の法則(sum rule) といったり、確率の加法定理(addition law of probability) といったりします。名前はあまり重要ではなく、意味していることを理解するのが重要です。

上の例題でいうと、「和が5になる事象」を事象 A、「和が10になる事象」を事象 B としたとき、この2つが同時に起きることはないので、確率は
\begin{eqnarray}
P(A\cup B)
&=&
P(A)+P(B) \\[5pt] &=&
\frac{4}{36}+\frac{3}{36}=\frac{7}{36}
\end{eqnarray}と求めることができる、ということです。

この「2つの事象が同時に起きることがない」という条件は重要で、この条件のことを、互いに排反(mutually exclusive) といいます。「事象 A と事象 B は互いに排反である」とか「事象 A と事象 B は互いに排反事象(mutually exclusive events) である」といったりします。また、記号を使えば、「 $P(A\cap B)=0$ 」とも書けるし、「 $A\cap B=\varnothing$ 」と書くこともできます。問題文などでは、どの表現も使われることがあります。

おわりに

ここでは、確率の和の法則について見てきました。「AかつB」が起きないなら、「AまたはB」の確率はそれぞれの確率を足して求められる、という内容でした。また、それに伴い、積事象、和事象、排反(事象)の用語も見ました。

「AかつB」が起こりうる場合での「AまたはB」の確率については、また別の機会で見ることにします。