高校数学指導要領(2012年度以降適用分)

このページでは、2012年度より適用の「高等学校学習指導要領」の数学の項目について説明します(2009年3月告示)。2015年度の大学入試からは、このページで説明する指導要領が採用されています。

なお、このページはPCで閲覧することをオススメします。

【目次】

概要

詳細に入る前に、各科目と分野の概要をまとめておきます。

【数学I・数学A】

科目 分野 備考
数I 数と式 実数、集合、命題、展開、因数分解、一次不等式など。三次の乗法公式と因数分解は除く
図形と計量 三角比。角度は0度から180度まで。正弦定理や余弦定理など
二次関数 二次方程式や二次不等式を含む
データの分析 四分位偏差、分散、標準偏差、散布図、相関係数など
数A 場合の数と確率 順列、組合せ、独立な試行、条件付確率など
整数の性質 ユークリッドの互除法、二元一次不定方程式、n進法など
図形の性質 三角形の性質、円の性質など

【数学II・数学B】

科目 分野 備考
数II いろいろな式 三次の乗法公式と因数分解、分数式、複素数と二次方程式、因数定理など
図形と方程式 直線や円の方程式、軌跡と領域など
指数関数・対数関数 指数、累乗根、対数、logなど
三角関数 一般角、加法定理など
微分・積分の考え 導関数(三次までの関数)、増減表、定積分(二次までの関数)など
数B 確率分布と統計的な推測 二項分布、正規分布、母集団と標本など
数列 等差数列、等比数列、数列の和、漸化式、数学的帰納法など
ベクトル ベクトルの演算、内積など

【数学III】(数Cはありません)

科目 分野 備考
数III 平面上の曲線と複素数平面 二次曲線、媒介変数表示、極形式、複素数平面、ド・モアブルの定理など
極限 数列の極限、無限級数の和。分数関数、無理関数、合成関数、逆関数、関数の極限、連続など
微分法 合成関数の微分、三角関数・指数関数・対数関数の微分、自然対数、変曲点など
積分法 置換積分、部分積分、図形の面積、立体の体積、曲線の長さなど

科目ごとの詳細

数学の科目は、「数学I」「数学II」「数学III」「数学A」「数学B」「数学活用」に分けられます。一般的に、大学入試の範囲に「数学活用」は含まれないので、以下ではそれ以外の5科目について、内容の詳細を記載していきます。また、指導要領は、「I、II、III、A、B」という順番で記載されていますが、ここでは「I、A、II、B、III」という順番で紹介していきます。

一般の大学入試では、文系は数学IA・数学IIBを、理系はこれらに数学IIIを加えたものが出題範囲となります。なお、「数学B」は、「数列」「ベクトル」だけを出題範囲とするケースが多いです。

数学I

数学Iには、「数と式」「図形と計量」「二次関数」「データの分析」が含まれます。

分野 内容 詳細
数と式 数と集合 実数(無理数の四則演算を含む)
集合(命題を含む)
式の展開と因数分解(二次式を扱う)
一次不等式
図形と計量 三角比 鋭角の三角比(相互関係を含む)
鈍角の三角比
正弦定理・余弦定理
図形の計量
二次関数 二次関数とそのグラフ
二次関数の値の変化 二次関数の最大・最小
二次方程式・二次不等式
データの分析 データの散らばり 四分位偏差、分散、標準偏差など
データの相関 散布図、相関係数など

数学A

数学Aには、「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」が含まれます。

分野 内容 詳細
場合の数と確率 場合の数 数え上げの原則
順列・組合せ
確率 確率とその基本的な法則
独立な試行と確率
条件付き確率
整数の性質 約数と倍数 素因数分解を含む
ユークリッドの互除法 二元一次不定方程式を含む
整数の性質の活用 二進法、有限小数、循環小数を含む
図形の性質 平面図形 三角形の性質
円の性質
作図
空間図形 多面体を含む

数学II

数学IIには、「いろいろな式」「図形と方程式」「指数関数・対数関数」「三角関数」「微分・積分の考え」が含まれます。

分野 内容 詳細
いろいろな式 式と証明 整式の乗法・除法、分数式の計算
(三次の乗法公式・因数分解を扱う。二項定理も含む)
等式と不等式の証明
高次方程式 複素数と二次方程式(二次方程式の解の判別、解と係数の関係を含む)
因数定理と高次方程式
図形と方程式 直線と円 点と直線(内分点・外分点など)
円の方程式
軌跡と領域
指数関数・対数関数 指数関数 指数の拡張(累乗根を含む)
指数関数とそのグラフ
対数関数 対数(常用対数を含む)
対数関数とそのグラフ
三角関数 角の拡張 弧度法を含む
三角関数 三角関数とそのグラフ
三角関数の基本的な性質
三角関数の加法定理 2倍角の公式、三角関数の合成を含む
微分・積分の考え 微分の考え 微分係数と導関数(三次までの関数を扱う。接線を含む)
導関数の応用(極大・極小、グラフの概形を含む)
積分の考え 不定積分と定積分(二次までの関数を扱う)
面積

数学B

数学Bには、「確率分布と統計的な推測」「数列」「ベクトル」が含まれます。

分野 内容 詳細
確率分布と統計的な推測 確率分布 確率変数と確率分布
(確率変数の平均・分散・標準偏差を扱う)
二項分布
正規分布
統計的な推測 母集団と標本
統計的な推測の考え
数列 数列とその和 等差数列と等比数列(一般項、和を扱う)
いろいろな数列
漸化式と数学的帰納法 漸化式と数列
数学的帰納法
ベクトル 平面上のベクトル ベクトルとその演算
ベクトルの内積
空間座標とベクトル

数学III

数学IIIには、「平面上の曲線と複素数平面」「極限」「微分法」「積分法」が含まれます。

分野 内容 詳細
平面上の曲線と複素数平面 平面上の曲線 直交座標による表示(放物線・楕円・双曲線も扱う。焦点、準線も含む)
媒介変数による表示
極座標による表示
複素数平面 複素数の図表示(極形式、複素数の四則演算の図形的意味を含む)
ド・モアブルの定理
極限 数列とその極限 数列の極限
無限等比級数の和
関数とその極限 分数関数と無理関数(グラフも含む)
合成関数と逆関数
関数値の極限
微分法 導関数 関数の和・差・積・商の導関数
合成関数の導関数
三角関数・指数関数・対数関数の導関数
(自然対数、第二次導関数、変曲点を含む)
導関数の応用 点の運動の速度・加速度も扱う
積分法 不定積分と定積分 積分とその基本的な性質
置換積分法・部分積分法
いろいろな関数の積分
積分の応用 面積・体積・曲線の長さを含む

前過程からの主な変更点

ここでは、前過程からの主な変更点を各科目ごとにまとめていきます。

数学I

  • 前過程の数学Bの「統計とコンピュータ」が、数学Iの「データの分析」に移動してきました(必修化)。
  • 前過程の数学Aの「集合と論理」が、数学Iの「数と式」に移動してきました。
  • 「三次の乗法公式と因数分解」は、数学IIの「いろいろな式」に移動しました。

数学A

  • 「整数の性質」が新設されました。
  • 「場合の数と確率」に、「条件付確率」が加わりました。
  • 「二項定理」は、数学IIの「いろいろな式」に移動しました。
  • 「図形の性質」に、「作図」と「空間図形」が加わりました。

数学II

  • 前過程の数学Iの「三次の乗法公式と因数分解」が、「いろいろな式」に移動してきました。
  • 前過程の数学Aの「二項定理」が、「いろいろな式」に移動してきました。

数学B

  • 「統計とコンピュータ」が、数学Iの「データの分析」へ移動しました。
  • 「数値計算とコンピュータ」が、廃止されました。
  • 前過程の数学Cの「確率分布」「統計処理」が、「確率分布と統計的な推測」に移動してきました。

数学III

  • 前過程の数学Cの「式と曲線」(二次曲線、媒介変数表示、極座標)が、「平面上の曲線と複素数平面」に移動してきました。
  • 「複素数平面」が新設されました(復活)。

数学C

  • 「式と曲線」が、数学IIIの「平面上の曲線と複素数平面」に移動しました。
  • 「確率分布」「統計処理」が、数学Bの「確率分布と統計的な推測」に移動しました。
  • 「行列とその応用」が廃止されました。
  • 「数学C」そのものが廃止されました。