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東京大学 理系 2015年度 第4問 解説

問題編

【問題】
数列$\{ p_n \}$を次のように定める。
\[
p_1=1, \ p_2=2, \ p_{n+2} = \frac{p_{n+1}^2+1}{p_n} \quad (n=1,2,3,\cdots)
\]

(1) $\displaystyle\frac{p_{n+1}^2+p_n^2+1}{p_{n+1}p_n}$がnによらないことを示せ。

(2) すべての$n=2,3,4,\cdots$に対し、$p_{n+1}+p_{n-1}$を$p_n$のみを使って表せ。

(3) 数列$\{ q_n \}$を次のように定める。
\[
q_1=1, \ q_2=1, \ q_{n+2} = q_{n+1} + q_n \ (n=1,2,3,\cdots)
\]
すべての$n=1,2,3,\cdots$に対し、$p_n=q_{2n-1}$を示せ。

【考え方】
まず、$p_n$がどういう数列なのか、少し書き出してみましょう。与えられた式をそのまま使うと、$p_3=5$、$p_4=13$、$p_5=34$となります。残念ですが、正直これだけではよくわかりません。

(1)で与えられている式が$n$によらないということは、$n$がどんな値であっても答えが変わらないので、$n=1$のときを考えてみると、3になることがわかります。ただ、これを直接算出するのは難しそうです。

そのため、与えられている式の$n$と$n+1$バージョンを比較して、差が0になるとか割り算の答えが1になるなどを示す方針で考えましょう。直接漸化式を代入してもいいのですが、2乗があってちょっと計算が大変です。よく見ると、漸化式の分子と、与えられている式の分子でかぶっているところがあるので、このことを利用して変形していきましょう。

(2)は(1)を使います。(3)は数学的帰納法で示していきます。


解答編

【問題】
数列$\{ p_n \}$を次のように定める。
\[
p_1=1, \ p_2=2, \ p_{n+2} = \frac{p_{n+1}^2+1}{p_n} \quad (n=1,2,3,\cdots)
\]

(1) $\displaystyle\frac{p_{n+1}^2+p_n^2+1}{p_{n+1}p_n}$がnによらないことを示せ。

(2) すべての$n=2,3,4,\cdots$に対し、$p_{n+1}+p_{n-1}$を$p_n$のみを使って表せ。

(3) 数列$\{ q_n \}$を次のように定める。
\[
q_1=1, \ q_2=1, \ q_{n+2} = q_{n+1} + q_n \ (n=1,2,3,\cdots)
\]
すべての$n=1,2,3,\cdots$に対し、$p_n=q_{2n-1}$を示せ。

【解答】
(1)
漸化式より、$p_{n+1}^2+1=p_np_{n+2}$である。よって、
\begin{eqnarray} \frac{p_{n+1}^2+p_n^2+1}{p_{n+1}p_n} &=& \frac{p_np_{n+2}+p_n^2}{p_{n+1}p_n} \\[5pt] &=& \frac{p_{n+2}+p_n}{p_{n+1} } \end{eqnarray} と変形できる。最後の式を$a_n$とおく。

$a_{n+1}-a_n=0$を示せばよい。
\begin{eqnarray} & & \frac{p_{n+3}+p_{n+1} }{p_{n+2} } - \frac{p_{n+2}+p_n}{p_{n+1} } \\[5pt] &=& \frac{(p_{n+1}p_{n+3}+p_{n+1}^2) - (p_{n+2}^2+p_np_{n+2})}{p_{n+2}p_{n+1} } \\[5pt] &=& \frac{(p_{n+1}p_{n+3} - p_{n+2}^2) - (p_np_{n+2} - p_{n+1}^2) }{p_{n+2}p_{n+1} } \end{eqnarray} ここで、漸化式より、$p_np_{n+2} - p_{n+1}^2=1$であり、$p_{n+1}p_{n+3} - p_{n+2}^2=1$も成り立つから、
\begin{eqnarray} & & \frac{(p_{n+1}p_{n+3} - p_{n+2}^2) - (p_np_{n+2} - p_{n+1}^2) }{p_{n+2}p_{n+1} } \\[5pt] &=& \frac{1-1 }{p_{n+2}p_{n+1} } = 0 \end{eqnarray} よって題意が示された。

(2)
(1)より
\begin{eqnarray} \frac{p_{n+1}^2+p_n^2+1}{p_{n+1}p_n} &=& \frac{p_{n+2}+p_n}{p_{n+1} } \\[5pt] &=& \frac{p_3+p_1}{p_2} = \frac{5+1}{2} = 3 \end{eqnarray}

よって、
\begin{eqnarray} \frac{p_{n+2}+p_n}{p_{n+1} } = 3 \\[5pt] p_{n+2}+p_n = 3p_{n+1} \end{eqnarray}

これがすべての自然数$n$に対して成り立つので、2以上の整数$n$に対して、$p_{n+1}+p_{n-1}$は$3p_n$と書けることがわかる。

(3)
$p_n=q_{2n-1}$を数学的帰納法で示す。

(ア) $n=1$のとき
$p_1=1$ で $q_1=1$なので、$p_1=q_1$は成り立つ。

(イ) $n=2$のとき
$p_2=2$ で $q_3=q_2+q_1=2$なので、$p_2=q_2$は成り立つ。

(ウ) nk(kは2以上の整数)のとき、$p_k=q_{2k-1}$と$p_{k-1}=q_{2k-3}$が成り立つとする。このとき、$p_{k+1}=q_{2k+1}$が成り立つことを示す。

(2)から$p_{k+1}=3p_k-p_{k-1}$が成り立つ。$q_n$に対する漸化式も用いると、
\begin{eqnarray} p_{k+1} - q_{2k+1} &=& 3 p_k - p_{k-1} - q_{2k+1} \\ &=& 3 q_{2k-1} - q_{2k-3} - ( q_{2k} + q_{2k-1} ) \\ &=& 2 q_{2k-1} - q_{2k-3} - q_{2k} \\ &=& 2 q_{2k-1} - q_{2k-3} - ( q_{2k-1} + q_{2k-2} ) \\ &=& q_{2k-1} - q_{2k-3} - q_{2k-2} = 0 \end{eqnarray} となるので、$p_{k+1}=q_{2k+1}$が成り立つ。

(ア)(イ)(ウ)から、すべてのnに対して$p_n=q_{2n-1}$となることが示された。

【解答終】

【解説】
(3)の数学的帰納法では、$n=1$だけでなく、$n=2$のときも示しています。なぜ2つ示しているかというと、(ウ)の証明の中で、「前の結果」だけでなく「前の前の結果」も用いるからです。このため、$n=1,2$の場合を事前に示しておく必要があります。

ちなみに、$q_n$はフィボナッチ数列ですね。

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